94歳タミ先生の「料理塾」 こども記者が土鍋ご飯に挑戦

西日本新聞 こども面

おにぎり握ろう 94歳タミ先生と(上)
 みなさんは料理は得意ですか? 福岡市在住の桧山タミさんは料理研究家として60年近く活動。94歳になった今でも、子どもたちに料理の楽しさを伝える本を出すなど食の大切さを発信しています。5人のこども記者がタミ先生の「料理塾」を訪れ、昔ながらの土鍋を使った炊飯の仕方を習い、おにぎりを握りました。

【紙面PDF】おにぎり握ろう 94歳タミ先生と

 ■ざるは米が喜ぶ

 マンションの一室にある料理塾のドアを開けると、タミ先生が笑顔で出迎えてくれた。「こっち、こっち。早くおいで」とキッチンに案内されると、壁一面にピカピカに磨き上げられた鍋など調理道具が並んでいた。「今日は土鍋で炊いたご飯でおにぎりを握るよ」。私たちは土鍋を使ってご飯を炊くのは初めてだったので、少し緊張した。

 まず米をとぐ。タミ先生が「ボウルにお米を入れて水をそそいで、さっとひと混ぜしてすぐに水を捨てるのがおいしく炊くこつだよ」と教えてくれた。次にまた水を入れて3、4回繰り返し、約30分ざるにあげておく。「とぐときにお米が喜ぶのはざるだよ。いい具合に水がきれるからね」と説明した。

 ■便利な時代に思う

 土鍋にといだ米と水を入れて火にかける。沸騰して湯気が勢いよく出たら、火を弱めて10~15分炊く。慣れてくると音やにおい、湯気の様子で火を調節するタイミングがわかるという。

 「昔、料理は井戸水を使った。冬でも水をくんで運んだ」とタミ先生は話した。今では水道の蛇口をひねれば水が出る。スーパーに行けばさまざまな食材が手に入る。「便利な時代になったからといっておいしい物、体にいい物が増えたわけではない」「少し手間はかかっても土鍋で炊いたご飯が私は一番おいしいと思う。だからみんなに勧めるんだよ」。長年料理を作り、教え続けて思うことだそうだ。

 いよいよおにぎり作り。炊きたてのご飯を軽く茶わんに盛る。もう一つの茶わんでふたをして、リズミカルに振る。タミ先生は「こうすると熱いご飯が丸くなって握りやすくなるんだよ」と教えてくれた。

 ■たくさん失敗して

 手を水で湿らせ塩をひとつまみ取り、手のひらにつける。ふたにした茶わんをはずして、丸くなったご飯を手にのせ三角に整える。タミ先生が「おいしくなーれ、と食べる人に思いを込めて握るとうまくいくよ」とアドバイス。「おにぎりはご飯が残りそうだったら作って、遅れてきた人に食べてもらえるのがいいね」

 米を炊く間に、卵焼きとみそ汁も作った。タミ先生は「おなかをすかせて料理するとおいしくできるよ」と話し、「たくさん失敗していいのよ。料理は作るほどに上手になるんだからね」と励ましてくれた。

 みんなでおにぎりをほおばった。味付けは塩だけだが忘れられないおいしさだと感じた。これまでタミ先生が食べて一番記憶に残った料理は何だろう? 「もう一度食べたいのはお母さんのちらしずし。庭で採れたサンショウの風味が忘れられないよ」と答え、子どものような笑顔を見せた。

    ※  ※

 あしたは、タミ先生が料理の道を歩むきっかけの一つとなった戦争のときのお話や、おにぎり作りに挑戦した5人のこども記者の感想を紹介します。

 ▼桧山タミさん 1926(大正15)年1月、現在の福岡市中央区西中洲に11人きょうだいの10番目として生まれる。日本を代表する料理研究家の一人である故・江上トミさんから料理を学び、61(昭和36)年に同市で自分の料理教室を開く。

PR

こどもタイムズ アクセスランキング

PR

注目のテーマ