桜島海底トンネル、鹿児島県議会が議論へ 専門家「大噴火で損壊も」

西日本新聞 九州+ 上野 和重

 鹿児島県は、鹿児島市街地と桜島を結ぶ海底トンネル構想の実現に向け、2020年度一般会計当初予算案に調査費1088万円を盛り込んだ。構想は県が8年前にまとめたが、巨額の費用がかかる上、フェリー事業への影響など課題が多く、進んでいなかった。三反園訓(みたぞのさとし)知事は「大隅地域に実現への強い思いがある」と説明するが、火山の専門家は「桜島の大噴火に伴う地殻変動を考えれば建設はあり得ない」と指摘。県議の中には「夏の知事選を意識したばらまき」と見る向きもあり、県議会での議論が注目される。

 大隅半島の住民からは長年、桜島と鹿児島市を結ぶ橋やトンネル建設が要望されてきた。県は09年度から12年度まで計3133万円をかけて鹿児島湾を横断する交通ネットワークの可能性を調査。橋は強風や火山灰、景観への影響などから適さないとし、海底トンネルは浅い海域で技術的に可能との結果をとりまとめた。長さ4770メートルの場合、工事費が約900億円とする試算も発表した。

 しかし、鹿児島市はフェリー事業への影響や火山活動に対する安全対策などの課題を指摘。慎重な対応を求め、構想は具体化に至っていなかった。

 2月27日の県議会代表質問で三反園知事は「(トンネル整備で)交流人口の拡大や物流の利便性の向上が期待され、県全体の発展に資する。緊急時の避難ルートとしても期待でき、課題を乗り越えるべく努力したい」と述べ、実現に向けての意欲を示した。県執行部は周辺道路の整備状況や交通量などの調査を行うと説明した。

 ただ、鹿児島大の井村隆介准教授(火山地質学)は「これまでの桜島の大噴火で何が起こったか理解していれば海底トンネルなどあり得ない。大噴火で海底ではメートル単位で段差ができる地殻変動が起き、トンネルは破壊される」と指摘。「調査費は税金をドブに捨てるようなものだ」と厳しく批判する。

 ある県議は、三反園知事の前のめりな姿勢は7月に予定される県知事選を見据えた戦略だとみる。「大隅地域へのアピールでしかない。予算は認められない」と語る。一方で、現地の大隅地域の県議は「薩摩半島と結ばれるのは大隅の悲願。橋でもトンネルでも実現してほしい」と期待を込める。 (上野和重)

鹿児島県の天気予報

PR

鹿児島 アクセスランキング

PR

注目のテーマ