クルーズ帰り風評被害 別の船だったのに…知人「会合に来ないで」

西日本新聞 社会面 竹次 稔

 東京都内で暮らす60代の女性=福岡市出身=は、新型コロナウイルスの集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」とは別のクルーズ船で旅行して帰国後、風評被害に苦しんでいる。複数の知人から感染の危険を理由に「会合に来ないで」と拒絶され、「万が一」を心配する子どもの家に立ち寄ることもはばかられる状況だ。感染が拡大する地域に船は立ち寄っておらず、女性は「明確な感染のリスクはなかったのになぜ…」と落ち込む日々だ。

 乗ったクルーズ船は1月中旬に米国・サンディエゴを出発、香港まで34日間の旅程だった。感染拡大を受け、船は最終地を香港からシンガポールに変更。女性は2月16日に飛行機で帰国した。

 乗船客は約700人。うち日本人は8人ほど。毎日2度検温するなど体調確認は徹底しており、体調を崩した人はいなかったという。

 船旅に出ることは多くの知人に伝えていた。日本に戻ると、複数の知人から「(所属する団体の)会合への出席は困る。会場のホテルにも迷惑が掛かる」と告げられた。感染の危険性はなかったことを何度説明しても分かってもらえなかった。関東に住む医療関係者の息子からも「万が一、感染したら仕事柄困る」と言われ、息子宅に立ち寄ることは控えている。

 日本災害医学会が、ダイヤモンド・プリンセスで活動した医療関係者らが「ばい菌」扱いされたとして抗議声明を出すなど、差別への懸念は高まっている。「いわれなき差別が広がっている」と話す女性は、正しい情報に基づいた冷静な判断の必要性を訴えている。 (竹次稔)

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