「犯人捜し避けたい」看護師感染の病院、覚悟の名乗り (2ページ目)

 だが、職員たちを悩ませたのはウイルスの恐怖だけではなかった。

 「子どもを通わせてもいいですか」。ある職員が、幼稚園に電話確認すると園側から「困ります。いったん自宅待機を」と登園を断られたという。職員の配偶者が勤務先に出勤停止を命じられたケースも。安全確認期間中、職員の家族が自宅待機や出勤停止となった件数は約50件に上る。

 影響は、外来やリハビリ通院の約650人にも広がった。リハビリに通う子どもが小児医院で診療を拒否されたケースがあったほか、院内感染の疑い払拭(ふっしょく)後も「(託麻台病院の患者は)受診前に必ず電話を」と掲示したままの医療機関もある。

 感染者と接触があった人、同じ職場で働く人、さらにその家族までもが社会的に隔離され、安全確認後も色眼鏡の不安視が消えない-。保健所からの連絡後、託麻台病院に立ちはだかった現実だった。

 芹口事務局長は言う。「今回のように出勤停止などが多数出た場合、小さな医院や企業は耐えられるのだろうか」。感染拡大が社会にどんな影響をもたらすのか。「託麻台」の経験はモデルケースでもある。 (古川努)

■診療再開の判断妥当

 大阪大の朝野和典教授(感染制御学)の話 新型コロナウイルス感染者が出た医療機関の診療再開については一律の基準がなく、個別の判断になる。熊本のケースは感染者の最後の出勤日から14日以上、院内の濃厚接触者の感染がないことで「院内感染はなかった」と判断するのは妥当。既に誰がどこで感染してもおかしくない段階で、勤務先が判明前後の対応を公表するのは、医療機関の対応として今後の参考になる。

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