なぜ?アマゾンに自分の住所…出品業者の所在地として掲載

西日本新聞 黒田 加那

 「自宅の住所が、ネット通販業者の住所として、勝手に掲載されています」。北九州市の20代女性から、「あなたの特命取材班」に相談があった。業者のミスか、何らかの意図があるのか。なぞを探った。

 1月下旬、女性の自宅に着払いの荷物が届いた。女性の夫は、家族が購入したものと思って受け取った。その後、荷物に気づいた女性が宛名を見ると、会社名のような記載があった。

 女性がインターネットで検索すると、大手通販サイト「アマゾン」に出品している雑貨販売業者がヒット。2年前に利用したことがある業者だ。その紹介ページには、所在地として女性の住所が示されていた。

 女性はサイトを運営するアマゾンジャパン(東京)に連絡し、すぐに住所を訂正するよう求めた。しかし「勝手にページを消すことはできない。業者側に住所を訂正するよう連絡する」との返答だったという。

 そこで直接連絡しようと、業者のページにあった問い合わせ先電話番号にかけた。ところが「現在使われておりません」との音声が流れるのみだった。

 住所は数日後に訂正されたものの、現在に至るまで業者から謝罪や連絡はない。「いつから、なぜ自分の住所を載せていたのか。多くの人に見られたと思うと心配でたまらない」と女性は訴える。

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 アマゾンジャパンは取材に対し「全ての販売事業者に、身分証明書を含む身元情報を提出させている」と強調。第三者や自動検証システム、スタッフによる確認を組み合わせて審査し、これを完了しない限り、アマゾンで出品できないと明らかにした。

 不正行為の通報があれば「徹底的に調査して排除するし、状況に応じて法的措置を講じている」という。ただ、女性のケースについては「個別の案件については、セキュリティーの観点からコメントを控える」と回答した。

 厳正な調査が行われているはずだが、問題の雑貨販売業者は、今なお電話がつながらない状態が続いている(4日時点)。女性は「また不正利用されないか不安」と不信感を募らせている。

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 他の通販サイトでは、どのように出品業者を審査しているのか。

 「ヤフーショッピング」を運営するヤフーは、法人は登記簿謄本、個人事業主は確定申告書の情報を入力させる。さらに確認書類を提出させた上で、ヤフー側が整合性をチェックする。「虚偽の情報が登録されていると確認した際は、契約を解除する場合がある」(広報担当者)。

 「楽天市場」を運営する楽天は、「運営実態を確認するための各種資料の提出などを求めている」。同社側から業者に連絡するなどして確認しており、「全く関係ない連絡先が使われたという通報は過去にない」と回答した。

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 今回問題となった雑貨販売業者は、社名や訂正後の住所から中国・深圳の会社と推測される。しかし、なぜ女性の住所が使われたのか。

 「日本の住所を使った方が信用度があるからでしょう」。ITジャーナリストの三上洋さんはこう解説する。海外業者の一部には、偽のブランド品などを販売するケースがある。そうした悪質な業者にとっては、国内の住所を掲載することで、消費者を安心させられるメリットがあるという。

 三上さんによると、出品業者が国内の架空の住所や、実在する別業者の住所を勝手に利用する事例は過去にもあった。アマゾン上の取引では、詐欺的な出品や、高評価を装う「やらせレビュー」を指摘したことがある。

 三上さんは「『アマゾンなら安心だろう』というブランド力で購入する消費者もいる。プラットフォーム側(通販サイト運営会社)がきちんとチェックし、消費者からの通報にも自ら対応することが必要」と語った。また「国も消費者の保護を実現してほしい」と要望した。(黒田加那)

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