ソウル市、感染当初から「クラスター」 情報公開で判明

西日本新聞 国際面 池田 郷

韓国、連鎖防止へ行動履歴追跡

 【ソウル池田郷】いつ、どこで、誰と接触して感染したのか-。韓国では、自治体が新型コロナウイルス感染者の行動履歴などを日本より詳細に公開している。推測される感染経路を市民と共有し「次の感染」を防ぐためだ。ただ、首都ソウル市でも4日までに約100人の感染が判明。市の公開情報からは、初感染が確認された1月下旬にはすでに市内で小規模の集団感染「クラスター」の連鎖が始まり、感染拡大につながった可能性が読み取れる。

 ソウル市で初めて感染が確認されたのは1月24日。中国・武漢から帰国した男性(50代)だった。30日には同じ武漢帰りの男性(30代)の感染も分かった。

 だが同じ時期に市内ですでにクラスターが起きていた可能性が高い。舞台になったのは鍾路区のキリスト教会「明倫教会」。26日の礼拝に参加した男性(50代)の感染が30日に判明した。その後、家族の女性(同)や男性(20代)のほか、29日の礼拝に出席した女性(50代)など4人の感染が明らかになった。

 そのうちの1人の男性(70代)が“第2のクラスター”を招いたとみられる。男性は26日の礼拝に参加。そのまま28~31日、鍾路区の「鍾路老人総合福祉館」を訪れ、3日連続で同館の食堂で高齢者3人と一緒に食事をした。結果、家族を含む計5人が感染した。

 一方、2月21日には鍾路区の西に接する恩平区の「恩平聖母病院」(約800床)で感染が判明。同病院は直ちに外来診療などを休止したが、入院患者や家族、病院関係者など計14人が院内感染した。

 同病院の感染経路を追跡すると、ある事実が明らかになった。11日に肺炎の疑いで入院し、その後に感染が確認された男性(70代)が鍾路老人福祉館の会員だったのだ。鍾路区の教会から高齢者施設、恩平区の同病院へと感染が連鎖した可能性が浮かび上がる。

 院内感染が判明する前、後に感染が確認された元職員の男性(30代)が患者や家族ら200人超と接触していたことも分かった。日本でも症状が軽い若年層が無自覚のまま感染を広げることが懸念されている。この男性もこうしたケースだった疑いがある。

 韓国では国を挙げて世界的にも最大規模のウイルス検査を推し進め、情報公開も徹底してきた。それでも感染は5千人を突破し、死者も30人を超えた。医療関係者は「感染者と感染経路の全容把握は初期の水際対策では重要だが、感染が広がった日本や韓国ではすでにその時期を過ぎた」と対応の限界を指摘する。

 感染者が集中する南東部大邱市では1日、病床不足のため入院できず自宅で待機していた男性(80代)が死亡した。韓国では高齢者や基礎疾患のある患者の重篤化を防ぐ医療態勢の遅れが指摘され始めている。

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