自宅にある裁縫道具に「今井」の名前が彫られている…

西日本新聞 社会面 下崎 千加

 自宅にある裁縫道具に「今井」の名前が彫られている。誰だろうと長年疑問だったが、祖母の旧姓と判明した。祖母から母、母から私へと受け継がれた年代物だった。

 田舎に暮らす92歳の祖母は結婚して「橋爪」になったが、今でも「今井がよかった」と言っているらしい。その話を私にした70歳の母は「下崎より橋爪がよかった」。単に語呂がいいから、とかではない。生まれ持った姓への愛着が消えないという。

 夫婦に同姓を義務付ける先進国は日本くらいだ。女性が姓を変えている夫婦が96%という現実は、男女平等がいまだ道半ばであることの証左。政府、与党は女性活躍推進のため、住民票などへの旧姓併記を認めたが、選択的夫婦別姓の導入には後ろ向きだ。

 仕事上不便だから、だけではない。自分の名前で生きたいという当たり前の願いが理解されない。8日の国際女性デーを前に、祖母の思いを知り歯がゆかった。(下崎千加)

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