「ふるさとは遠きにありて思ふもの」…

西日本新聞 オピニオン面

 「ふるさとは遠きにありて思ふもの」。故郷を遠く離れた人の胸に浮かぶセピアの風景に、色彩を与えるものがあるとすれば、幼い頃から親しんだ味や香りではなかろうか

▼「きな粉入りビルマ風サラダうどん」「パキスタン風炊き込みごはん」「挽(ひ)き肉たっぷりクスクスの包み揚げ」…。「海を渡った故郷の味」(認定NPO法人・難民支援協会編著)に掲載された世界15カ国・地域、45の料理の一部だ

▼日本にも多くの難民がいて、故郷を思う心は皆、同じ-。それを広く知ってもらおうと、難民の人たちに教わった故郷の料理を、身近な食材で作れるレシピで紹介した

▼危険から逃れてきた人たちにとって、故郷は「そして悲しくうたふもの」「帰るところにあるまじや」なのかもしれない。懐かしい味が過酷な体験を思い起こさせることもあろう

▼だが、独裁政権の支配に抵抗し、日本に逃れて20年になるというアゼルバイジャンの男性は言う。「料理には歴史があり、文化がある。だから料理を作っていると、昔同じ土地で暮らしていた人のことを思い出す」

▼小学生の息子と暮らすクルドの女性は「息子にとってのママの味は、私が作るクルド料理。もちろん、日本の料理も好きです。特にラーメンが」と。難民申請中で「生活は大変」という母子のような人たちに、安全と安心を提供したい。ラーメンが「第二の故郷の味」と思ってもらえるように。

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