九州観光、八方ふさがり 感染拡大防止には理解

西日本新聞 社会面 仲山 美葵 山本 諒 岩尾 款

 新型コロナウイルスの感染防止対策として政府が5日、中国や韓国からの入国制限を大幅に強化することを決め、両国からの渡航者が外国人入国者の7割以上を占める九州では、観光業者やサービス業者に困惑が広がった。外出控えで国内客も減少傾向で、地域経済がさらに打撃を受けるのは必至。関係者からは「八方ふさがり」との悲鳴も上がる。

 「(2008年の)リーマン・ショックの時を上回る大打撃だ」。福岡市のホテル関係者は頭を抱える。外国人宿泊者のうち韓国人が4割を占め、次いで中国人が多かった。出張の自粛やイベントの中止で日本人客も減っている。「にっちもさっちもいかない。感染拡大防止の意味ではもっと早く踏み切るべきだったのでは」と不満をあらわにした。

 海外観光客に人気の由布院温泉(大分県由布市)では1月の春節以降、中国人観光客が激減。韓国人客も低迷が続いている。市まちづくり観光局の担当者は「感染拡大を防ぐことは必要だろうが、中韓からの訪日客が回復する見込みがさらに遠のく。いつまで影響が続くのか」と懸念した。

 川下りが名物の福岡県柳川市では、中国人を中心に利用客の6~7割を占める外国人客のほとんどは福岡空港佐賀空港から入国するという。市観光協会の職員は「春の川下りシーズンが本格化したばかりなのに…」と肩を落とす。

 中韓路線が週約190往復発着する福岡空港。運航がストップすれば、発着料徴収や空港利用客による消費額が大幅に減る。運営する福岡国際空港(福岡市)は「収支が厳しくなる」。

 西日本鉄道(同市)はグループ会社を含め、九州各地と福岡空港国際線ターミナルを結ぶ高速バスや路線バスを運行している。今後、利用者の大幅減が見込まれるため「バスの収支にも影響が出るかもしれない」(広報)と困惑気味だ。

 博多大丸(同市)は、新型コロナウイルスの影響で2月の訪日客の売上高が6割減。「国内の自粛ムードでセールなどのイベントも大々的にできない。中韓の旅行客もゼロになればどうすればいいのか」と嘆く。

 昨年、訪日客にも人気の時計やブランド品売り場を刷新した岩田屋三越(同市)の担当者は「刷新で客単価は増えていた。訪日客がいなくなった場合の先行きは見通せない」と話した。

 ホテルや機内食事業を手掛けるロイヤルホールディングス(同市)は「感染防止を行うための政府の決定として厳粛に受け止める」とした上で、関連事業について「大きく影響を受けることになる」とした。 (仲山美葵、山本諒、岩尾款)

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