1980年代に世界を席巻した英国のバンド「ポリス」にこんな歌が…

西日本新聞 オピニオン面

 1980年代に世界を席巻した英国のバンド「ポリス」にこんな歌が。♪世界にSOSを送るんだ。瓶に詰めたおれのメッセージを誰か受け取ってくれ

▼邦題は「孤独のメッセージ」。現代の若者の孤独を歌った。1千億本もの瓶が浜に打ち上げられた光景を見て、孤独なのは自分だけじゃないと気づく。そんなSFじみた描写は今のネット社会の到来を予感していたかのようだ

▼こちらのSOSは2012年秋、中国製ハロウィーン飾りの箱の中で約8千キロを旅して届いた。購入した米オレゴン州の女性が飾りの裏に貼り付けられた手紙を見つけた。英語で「どうかこの手紙を世界的人権団体に届けてください」とあった

▼手紙の主は孫毅さん。中国政府の思想弾圧を受け、馬三家(マサンジャ)の強制労働所に収容されていた。看守に気づかれぬよう夜中に息を潜めて手紙を記し箱に忍ばせた。「1日15時間労働で休みもない」「拷問され殴られ虐待されている」

▼女性は手紙を公開し、中国政府の苛烈な思想統制が白日の下に。裁判なしで人民を強制労働所に入れる「労働教養制度」の廃止につながったという

▼その一部始終を追ったドキュメンタリー「馬三家からの手紙」が東京で近く公開予定。福岡でも上映の動きがあり、いずれ紹介したい。それにしても事実は小説より奇なり。孫さんは亡くなったが、彼の極限のSOSはポリスの歌のように、確かに世界へ届いた。

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