給与振り込み、役所手続き…旧姓使用も不便「夫婦別姓」望む声切実

 選択的夫婦別姓を巡っては「賛成」の意見が強まる一方で、国会での議論は進んでいない。司法の場でも「改姓による不利益は、旧姓使用の広がりで緩和される」などとして、夫婦別姓を求める訴えの棄却が続く。ただ、社会生活の現場では、二つの姓を使い分けることに負担や不便さを感じている人もいる。

 熊本県の女性医師(35)は5年前に結婚し、仕事では旧姓を使用する。結婚前に書いた論文や患者との関係で混乱が生じるのを防ぐためでもあるが「医師として頑張っているのは結婚した私ではなく、今までの私」との思いがあるからだ。

 最初の不都合は給与の振り込みだった。結婚後、銀行口座は改姓手続きをしていた。ところが、病院では旧姓を使っていたため、改姓した口座は本人名義と認められず、旧姓の口座が必要になったという。仕事関係の郵便物は全て旧姓で届くが、窓口で受け取る際には旧姓を証明できるものがないため、毎回説明が必要だった。

 政府は昨秋、「女性活躍推進」のため、住民票とマイナンバーカード、運転免許証での旧姓併記を可能にした。女性もすぐに住民票への併記を役所で申請した。ただ、データ更新に2時間以上かかると言われ、翌日も役所に足を運んだ。

 後日、免許証への旧姓併記のため、運転免許センターを訪れた。初めてのケースだったのか、窓口の担当者は困惑気味で、やりとりに時間を要した。

 「そもそも別姓が選べれば、こんな手間は要らなかった。旧姓併記は助かるが、あくまで応急措置的なもので、夫婦別姓へのプロセスであってほしい」と話した。 (本田彩子、阪口彩子)

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