新型コロナ拡大で凍える経済 景気後退の瀬戸際

 「コロナショック」が金融市場に広がった。新型コロナウイルスの感染拡大で、9日の日経平均株価は2万円を割り、円相場は一時1ドル=101円台に突入。政府、日銀に緊張が走った。足元では、外出の自粛などで個人消費や企業活動が停滞。2020年1~3月期の実質国内総生産(GDP)は2四半期連続のマイナス成長が確実視され、同日の米株式市場も取引時間中としては過去最大の下げ幅となった。景気後退が現実味を帯びてきた。

 「投資家心理が非常に悪化し、不安定な状況が続いている」。9日の参院予算委員会で日銀の黒田東彦総裁は警戒感をあらわにした。

 この日は原油価格の暴落が引き金となり、相対的に安全とされる円を買う動きが加速。日本の輸出産業に打撃となる円高ドル安が一気に進み、日本株は主力銘柄が総崩れとなった。

 市場ではリスク回避傾向が強く、世界景気減速への懸念が高まっている。08年のリーマン・ショック級の危機が再来するのか-。大手証券会社首脳は「倒産がどれだけ起きるか。銀行の資産が危うくなるか次第だ」と神経をとがらせた。

 財務省、日銀、金融庁は緊急の3者会合を開き、対応に追われた。既にマイナス金利を導入している日銀は利下げ余地が乏しいが、米国の利下げを傍観して金融緩和に動かなければ、円高が進みかねない。18~19日の金融政策決定会合では難しい判断を迫られる。

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 実体経済にも深刻なダメージが及びつつある。

 東京商工リサーチによると、コロナ関連の倒産が北海道のコロッケ製造業など2件発生し、事業停止に追い込まれた例も2件出た。政府は中小企業向けの資金繰り支援策を打ち出しているが、担当者は「止血策にすぎない。今後も関連倒産は増える」とみる。

 地方では旅行需要の低迷も深刻だ。日本旅館協会(東京)によると、3~5月の九州・沖縄関連の予約はキャンセルが相次ぎ、前年同期より約5割減。訪日客の減少で業績悪化を見込む企業も出ており、国土交通省幹部は「インバウンドに頼る九州が最も打撃を受けるだろう」と危ぶむ。

 自動車産業の経営環境も急速に厳しさを増す。中国からの部品調達の停滞で、自動車各社は九州など各地の工場で操業を一部停止。中国内での生産も滞る中、円高による業績悪化リスクにさらされている。

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 9日朝に公表された昨年10~12月期のGDP改定値は速報値から下振れし、マイナス幅が拡大。政府関係者は「ダブルショックだ」と険しい表情を浮かべた。

 改定値では、法人企業統計を反映した設備投資は前期比4・6%減まで低迷。昨年10月の消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減は想定より大きく、消費の弱さが改めて鮮明になった。

 昨年から景気が悪化している、との見方は強まっている。「消費税やコロナのせいだけにはできない」と、官邸筋は危機感を抱く。

 大和総研はGDPの6割を占める個人消費が今年2~5月の4カ月間で、3兆8千億円程度減るとの試算をまとめた。東日本大震災による減少額2兆6千億円を超える規模だ。

 政府は「緩やかに回復している」との景気判断を崩していないが、もともと雇用以外の経済指標は停滞感が強い。大和総研の神田慶司氏は「コロナの流行期間次第だが、景気後退局面のリスクは高まっている」と指摘する。 (古川幸太郎)

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