首相説明責任果たさず 参院予算委、新型コロナ巡り論戦

西日本新聞 総合面 河合 仁志

 参院予算委員会は9日の集中審議で、新型コロナウイルス感染症を巡り論戦を繰り広げた。野党は一斉休校要請や中韓両国からの入国制限強化など首相官邸主導の対応に根拠を示すよう迫ったが、安倍晋三首相はあいまいな答弁に終始した。緊急事態宣言の発令が可能になる関連法改正案は週内にも成立する見通し。判断基準を示しつつ、国民の理解を得ながら感染拡大の防止策を講じられるか。首相は正念場を迎えている。

 「日々変わる情勢変化の先を見通しながら、やるべき対策をちゅうちょなく決断し実行していく考えだ」

 政府専門家会議が「1~2週間が瀬戸際」と警鐘を鳴らしてから2週間となる9日の参院予算委。大規模イベントなどの自粛要請を延長する考えがあるかを問われた首相は、専門家の意見を踏まえて自ら決断する姿勢を示すにとどめた。

 首相が矢継ぎ早に繰り出した措置は国民生活や経済への影響が大きいだけに、野党は根拠や見通しの説明を求めた。一斉休校に関連し、国民民主党の伊藤孝恵氏は「根拠のない政治判断によって日常が変わり、先行きも分からない」と指摘。首相に代わって答弁に立った加藤勝信厚生労働相は「スケジュール感を示していく」と応じたが、どんな状況になれば学校再開できるのかの基準や目安には触れなかった。

 中韓両国の入国制限強化についても野党は「科学的根拠はあるのか」「首相の指示か」(立憲民主党の蓮舫氏)と追及した。首相は「私だけの判断ではなく、外務省などとも相談した」などと苦しい答弁に終始。守勢を印象付けた。

 社会や経済の動揺を最小限に抑えつつ、政府が新たな感染拡大防止策に踏み切るには、首相の発信力が不可欠だ。新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案が成立すれば、国民の私権を制限する緊急事態宣言も可能。政府は宣言の是非について「専門家の意見を聞いて判断していく」と繰り返すが、与党内にも「要件の定義を明確にすべきだ」(公明党の秋野公造氏)との声は強い。

 株式市場の急落や急速な円高の進行も、危機対応の出口戦略が政府から示されないことへの不安が拍車を掛けている側面もある。首相はこの日、「インパクトに見合うだけの必要かつ十分な経済財政政策を行っていく」との答弁を再三読み上げたが、予測不能に陥った市場の動揺が収まる気配はない。 (河合仁志)

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