映画出演で憧れ再燃「一生後悔したくない」女優目指して上京へ

西日本新聞 吉田 賢治

 「アドレナリンがわっと噴き出たんです。この世界が、やっぱり好きなんだ」

 福岡県大牟田市が舞台の映画「いのちスケッチ」に、地元から出演する「地域キャスト」を選ぶオーディションで合格した橋爪紗江さん。瀬木直貴監督の下で昨年1月、台本を読んだり、表現力を試されたりするワークショップを受講した際、高校、大学と演劇に打ち込んだ頃の熱い思いが再燃した。

 演技力が評価され、主人公の祖母に付き添う介護士役に抜擢(ばってき)され、出演を果たした。短いせりふもある。「10秒ほどのシーンだったけど、とにかく緊張した。それでも雰囲気に合うアドリブも入れられた」。本番では1回で監督のOKが出て、芝居に自信を深めた。

 幼い頃からテレビのドラマやアニメに夢中で、物語に入り込んで演じる姿に憧れた。小学生時代に入っていた地元・八女市の合唱団では、曲に合わせた振り付けをほめられ、うれしかったのをよく覚えている。

 明光学園高(大牟田市)で演劇部に所属。「主役は演じなくても、みんなで芝居を作り上げるのがとても楽しかった」。九州大谷短期大(筑後市)でも演劇を学び、クラシックバレエや日本舞踊などの講義や実技でも表現力を磨いた。「ずっと芝居をやって生きていきたいと思っていた」

 ところが卒業時、親に説得されて地元企業に就職。ただ、演劇への思いを断ち切れずにいた。心身が不調になったり、職業訓練のため専門学校に通った後も、職を転々としたりした。

 福岡市で1人暮らしをしていたが、祖母の介護をする必要もあって帰郷。筑後市の会社でパート事務として働き始めた。そんな折、短大時代の友人に誘われたのが「いのちスケッチ」のオーディションだった。介護士の役では、祖母を介護した経験も生きた。

 「瀬木監督との出会いも含め、いろんな縁が重なった。踏み出すなら今しかない。一生後悔したくない」。女優になる夢を追う決意をした。ずっと反対していた母親は、3年の期限を条件に了承してくれた。

 「素の自分は人前が苦手だけど、役を与えられて演じると自分を解放できる。芸能の世界は、自分らしくいられる場所と思う」

 芝居も声優も歌も。年齢にもこだわらない、何でもこなす女優が目標だ。「応援してくれるたくさんの人たちの期待に応えたい」。仕事の区切りをつけて5月に上京し、挑戦のスタートを切る。 (吉田賢治)

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