サンダース氏失速、窮地 米民主党指名争い

 【ワシントン田中伸幸】米野党民主党の大統領候補指名争いは10日、政権奪還の鍵を握るラストベルト(さびた工業地帯)の一角、中西部ミシガン州を制したバイデン前副大統領が指名獲得へ大きく前進した。党主流の中道、穏健派の有力議員らが雪崩を打ってバイデン氏支持を表明する一方、序盤戦をリードした最左派サンダース上院議員は失速が明らかだ。選挙戦は継続するとみられるが、一気に窮地に追い込まれた。

 6州で予備選や党員集会が行われた10日、最大の注目は自動車産業など製造業の苦境にあえぐミシガン州だった。同じくラストベルトと呼ばれる中西部ウィスコンシン、東部ペンシルベニア両州とともに民主党が伝統的に強かったが、2016年の前回大統領選では共和党候補のトランプ氏が大接戦を制して勝利した。特に白人男性の労働者が民主党を見限ってトランプ氏支持に回り、勝敗を大きく左右したとされる。今回も「この3州で民主党が勝てば政権奪還に大きく近づく」(識者)と指摘される。

 バイデン、サンダース両氏とも3州のうち指名争いの初戦となったミシガンを重視。白人労働者などを念頭に「中低所得層の生活を立て直す」などと訴えた。

 特に、最低賃金の引き上げを主要政策に掲げるなど労働者層の取り込みを図るサンダース氏は、前回16年の党候補指名争いで予想を覆してミシガンを制した実績もあって同州での勝利にこだわり、著名な黒人指導者の支持を取り付けるなどてこ入れを図った。

 しかし、序盤の劣勢を挽回して勢いに乗るバイデン氏はミシガンでも支持を拡大。結果、サンダース氏は接戦にも持ち込めなかった。さらにもともと浸透が課題だった黒人層の多い南部ミシシッピ州では60ポイント以上の大差で惨敗した。

 サンダース氏はこれまで予備選終了後には演説するなどしていたが、この日は声明も出さないまま。ショックの大きさをうかがわせた。

 全米各州に割り当てられた計約4千人の代議員を奪い合う指名争いは6月まで続く。残る代議員は全体の約半数。サンダース氏には逆転の可能性がまだある上、16年の指名争いでも最後まで戦っただけに「撤退は考えにくい」(米メディア)との見方が大勢だ。

 巻き返しを期すサンダース氏は15日に予定される討論会などでバイデン氏を「守旧派」と位置づけて激しく批判することが予想される。ただ、民主党支持層からはサンダース氏の攻撃的な姿勢に対し「党の団結を妨げる。迷惑だ」(南部州の民主党支持女性)といった声が強まる。今後の予備選は南部などバイデン氏優勢とされる州が多い。サンダース氏に撤退を求める圧力が高まるのは必至だ。

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