コロナ不況 長期戦にらんだ対策必要

西日本新聞 オピニオン面

 新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済を大きく揺さぶっている。世界保健機関(WHO)が「パンデミック(世界的大流行)」と認めたことで、不安感が一気に広がった格好だ。

 世界同時株安にも歯止めがかからない。米国株の歴史的な暴落を受け、東京株式市場は13日も大幅続落した。この状況が続けば、どの国も景気の悪化は避けられない。「コロナ不況」が現実味を帯びてきた。

 日本政府は10日に緊急対策第2弾を発表した。学校の臨時休校に伴う保護者の休暇取得を支援し、イベントの開催自粛による影響を軽減するため中小零細企業への資金繰り支援などを打ち出した。社会の動きの停滞で事業継続が難しくなった場合も雇用調整助成金の特例措置拡大で雇用を守るとしている。

 だが、足元の経済活動の低迷は政府の想定を超えているのではないか。業績悪化に伴う企業の採用内定取り消しや中小零細企業への「下請けいじめ」などがないよう、弱者に十分目配りした対策を政府には求めたい。

 安倍晋三首相が唐突に学校の全国一斉休校と大型イベント自粛を要請したことが、国内の経済・社会活動萎縮の引き金となった。在宅勤務の拡大や出張の抑制、会議の削減に加え、観光も自粛の対象となり、人の動きが目に見えて減っている。

 東海道新幹線は乗客が半減して、全日空や日本航空は国内線の大幅減便を強いられた。JR九州も利用者の落ち込みが大きく、九州新幹線と在来線特急の臨時列車計190本を運休する。長引けば地域経済への深刻な影響が不可避だ。

 ただ、状況は地域によって異なる。感染者が多く緊急事態宣言を出した北海道は道民に外出自粛を呼び掛けているが、全国一律に右へ倣えする必要はないのではないか。

 東京や大阪の人気テーマパークが休園期間を延長するなど、レジャー産業の営業自粛が広がる中、長崎県佐世保市のハウステンボスは公園機能や屋外施設の営業を16日に再開する。入園時の来場者の検温や従業員のマスク着用などで感染予防に取り組むという。企業や個人がそれぞれの状況に応じて判断し、行動する例として注目したい。

 直面する課題が感染拡大防止であることは論をまたない。しかし同時に、経済・社会活動が萎縮するばかりでは弱者へのしわ寄せも避けられない。悪影響を可能な限り抑えるよう知恵を絞ることも大切だろう。

 命と健康を守る対策と、生活の土台となる経済活動の維持とのバランスを保ちながら、長期戦の可能性もある新型コロナとの闘いに立ち向かいたい。

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