スウェーデンに「失敗博物館」がある…

西日本新聞 オピニオン面

 スウェーデンに「失敗博物館」がある。大学でイノベーション(技術革新)を教える学者が、「大切なのは成功より失敗」と気づいて3年前につくった。最初は革新的と思われた失敗商品を世界各国から集めて展示している。失敗は成功の母、と古今東西いう

▼博物館では展示できない「失敗物語」もある。地球上で生まれた文明の利器が地球外で危機にひんしたのは、50年前の春だった

▼米国が3度目の有人月面着陸を目指したアポロ13号は、途中で酸素タンクが爆発、燃料電池が故障した。電力も酸素も乏しくなり、月どころか地球への帰還も危ぶまれた

▼「輝ける失敗」「栄光ある失敗」と語り継がれている。死線を越えて生還できたからだ。飛行士3人と地上スタッフの昼夜を分かたぬ苦闘は、映画にもなった

▼13号の前年のアポロ11号で人類初の月面着陸を世界に発信した米国は、13号で国の底力を再発信した。困難に負けない人間力のようなもの

▼失敗博物館には実業家時代のトランプ氏をモデルにしたボードゲームもあるという。不動産ゲームだ。「入館者からは『失敗はゲームではなく彼を大統領にしたこと』の声も」と開館時の共同通信が伝えていた。その人は米国の一部をいびつに変え、再選を目指す。4年前に「米国の失敗」と言った人たちに「輝ける失敗だった」と言い直させたい空気が、トランプ氏の岩盤支持層をさらに固くしている。

PR

春秋(オピニオン) アクセスランキング

PR

注目のテーマ