「幼い頃、祖母がこいこくや洗いを作ってくれた…

西日本新聞 社会面 糸山 信

 「幼い頃、祖母がこいこくや洗いを作ってくれた。ここに私の食のベースがある」

 福岡県うきは市出身でフランス料理人の高山英紀さん(42)が地元の料理教室で語った言葉だ。料理界のワールドカップとされる「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」で、日本代表チームのシェフとして最高5位の実績を残す気鋭のシェフ。思い出の味は地元の川の恵みだった。

 九州一の大河、筑後川の南側に広がるうきは市。かつて地域で集まればコイやフナの料理が並んだという。個人的にはこの冬初めて知り合いから寒ブナの刺し身をいただき「かむほどに口の中で広がる滋味」に心を打たれた。

 近年は毎年のように豪雨災害が起き、川を見るたびに私の頭には、その激しい姿が浮かぶ。それだけに、川との営みの中で連綿と受け継がれてきた味にもっと光を当てることで、忘れていた“距離感”を取り戻せるのではないかと感じている。 (糸山信)

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