にわかに注目、オンライン学習 新型コロナで突然の休校… 企業も支援

西日本新聞 くらし面 四宮 淳平 石田 剛 前田 英男

学校の意義見つめ直す機会にも

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で小中高校の臨時休校が続く中、子どもたちが自宅にいても学べるオンライン学習が注目されている。企業による教材の無料公開が相次いでいるほか、学校現場も教師が課題の送信や質疑応答などを工夫。情報通信技術(ICT)を使った教育の浸透と、教室で学ぶ意義の見直しにもつながっている。

 「楽しみだったし、ドキドキした」。福岡市中央区の福岡雙葉高2年の香山礼美さん(17)は11日、ビデオ会議システムによる学級の朝礼に臨んだ。スマートフォンに並んだ級友や担任の表情に触れて「安心した」と香山さん。臨時休校に入って以降、初めて顔を見る人が大半だったという。

 ICT教育に力を入れ始めた同校では本年度、全ての教師にタブレット端末を配備した。その環境を利用して教師たちは休校中、生徒向けに小テストや添削、解説動画に加え、黒板の前で撮影した授業の動画を配信。1本の動画を5分にまとめたり、別の教師が生徒役をしたりするなどの工夫を凝らす。ただ、授業の代替ではないため、どこまで取り組むかは生徒次第だ。

 生徒の関心を伸ばす鍵の一つが教師の「素顔」。今春、定年を迎える教師のメッセージ動画を配信すると生徒間で大きな話題となった。その反響を受け、歌に合わせて踊る教師の姿なども見られるようになった。

 一方で授業動画は思わぬ効果も。「生徒がノートに書いたり、自分たちが板書したりする時間を省くと50分でやっていた内容を約15分にまとめられた。自分の動画を見て話す早さや滑舌も見直せた」と甲斐恭平教諭(29)は話した。

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 福岡市西区の福岡西陵高では臨時休校に入った3日、教師たちが学校のタブレットを手にオンライン学習の手法を確認し合った。

 九州大と連携し、デジタル教材の活用法を探る同校は生徒と教師に保護者も加えて学級、部活動など設定したグループ内で文章や写真、動画を送受信できるシステムを導入。生徒たちには休校前、自宅のパソコンやスマートフォンを使って交信するよう伝えていた。

 「生徒を個別に呼び出して指導ができるわけではない。いかに生徒がやりたくなる課題を提供できるかが大切」と、中心になって進める吉本悟教諭(39)は言う。休校から10日余り。連絡事項や課題の伝達に加え、テレビ会議システムで一部の補習授業も実践した。今後は海外の学校とつなぎ、生徒間の交流会も計画している。

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 こうした学校現場の取り組みに、教育関連企業も積極的に“参戦”する姿勢を見せている。

 通信教育事業のZ会(静岡県三島市)や小学館集英社プロダクション(東京)、学研ホールディングス(東京)などの業界大手はそれぞれ、専用サイトを設けるなどし、学習方法や授業解説の動画といった教材を相次いで公開している。

 経済産業省は2月28日に家庭学習に役立つ取り組みを紹介するサイトを開設。50社・団体以上を載せており、担当課には一時、対応できないほど掲載の要望が殺到したという。

 4月からプログラミング教育が小学校で必須となるのをにらんだ企画もある。福岡市のベンチャー企業「しくみデザイン」は4月上旬まで、同社が無料で提供しているアプリを使ったデジタル作品を応募してもらうコンテストを実施中だ。

 パソコンやスマホがあれば、どこでも学べるオンライン学習。それでも、多くの生徒は教室で気軽に話し合い、学び合える友人が隣にいないことに不都合を感じている。福岡雙葉高の甲斐教諭は「生徒たちが集まらないとできないことは何なのかを突き詰めないといけない」と話す。突然の臨時休校は、学校での学びの意義をあらためて感じる機会でもあるようだ。

(四宮淳平、石田剛)

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