伝統工芸の魅力を絵本で 新型コロナ苦境、甘木絞りの若手が支援募る

西日本新聞 押川 知美

 伝統工芸の後継者不足の解消に一役買おうと、福岡県朝倉市で工芸品「甘木絞り」を手掛ける西村政俊さん(32)がオリジナル絵本作りに取り組んでいる。絞り商品の売り上げを作成費に充てる予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で出展予定のイベント中止が相次ぎ、収入が激減。インターネット上で資金を集めるクラウドファンディング(CF)で支援を呼び掛けることにした。「コロナの影響は伝統工芸の多くに及ぶだろう。だからこそ、その意義を伝える絵本を」と決意を新たにする。

 ファッションや久留米絣(かすり)を学んできた。江戸時代末期から続くとされる甘木絞りを再興しようと2017年4月に独自のブランドを立ち上げた。創作に励む中で、伝統工芸全体の後継者不足を目の当たりにし、子どもも親しみやすい絵本作りを企画した。

 タイトルは「せめろ!でんとう!」(仮題)。伝統工芸に関心を持った主人公の少年が工程や現状を学ぶ中で、これからどうしたら守っていけるのか、担い手のおばあちゃんに教えてもらう物語を考えている。

 コンテを自ら完成。絵を国内外で活躍し、柔らかいタッチと色合いが人気のイラストレーター、ニッパシヨシミツさんに依頼した。

 A4判30ページで英訳付きを予定していたが、コロナ禍によるイベント中止で「ほとんどの収入が突然なくなった」。絵本作りを続けるべきか思い詰めていた時、CFサイトを運営する「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」が、経営難に陥った事業者を支援する「新型コロナサポートプログラム」を始めたことを知り、募集を決めた。

 CFサイトで「伝統工芸の大切さ、伝統とは何か?を伝えるための絵本を作りたい!」で検索できる。イラストの作成料や製本代など一口3千円から、目標金額150万円を目指して4月28日まで支援を募る。お礼として、絵本や甘木絞りの手ぬぐい、絞り染め体験などを予定している。西村さんは「親子で楽しめる絵本になると思う。伝統工芸の魅力に触れるきっかけをつくるためにも、力を貸してほしい」と語る。(押川知美)

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