「また歩きたい」支えるジム 九州初、脊髄損傷者の機能回復に特化

西日本新聞 社会面 大坪 拓也

 脊髄を損傷した人の運動機能回復に特化した九州初のトレーニングジムが20日、福岡市博多区にオープンする。開設するのは東京と大阪で同様のジムを運営する「J-Workout」(東京)。科学的知見に基づく訓練を続けることで下半身まひの人が歩けるようになっており、四肢まひがある同社代表の伊佐拓哲(たくのり)さん(38)は「『また歩きたい』という人たちの思いに少しでも応えたい」と話す。

 国内では交通事故や転落で毎年5千人が脊髄を損傷しているとの推計がある。脊髄損傷者は手術や治療後、医療保険などを使いリハビリを受けるが、多くは車いす生活で上半身が中心になりがちで、歩行を目指すにも時間が限られている。

 訓練は神経学や運動学を根拠にしたトレーニング理論に基づく。専用器具で全身に負荷を与え続け、まひ部分の筋肉を刺激して機能低下を抑止。損傷を免れた神経や筋肉を鍛えて身体能力を強化し、全体として運動機能の向上を図る。スタッフには看護師や理学療法士の資格を持つトレーナーもいて、1人に対し2人がサポートする。

 東京と大阪の利用者は、下半身まひの人を中心に約500人。半年から数年間にわたって週1~3回の訓練を継続した結果、約100人が距離の個人差はあるものの自力や補助具を使って歩けるようになった。

 車いすの状態から登山を成し遂げた人もいる。歩行に至ってなくても起立や寝返りが可能になり、衣服の着脱がしやすくなるなど生活の質向上につながっている。学生時代に運動中の事故で脊髄を損傷した伊佐さんも付き添いがあれば約7メートル歩けるまでになった。

 医療保険の対象外のため料金は年会費24万円、2時間の訓練が3万円と安価ではないが、効果を聞きつけ遠方から通う人もいる。2009年には、車いすテニス男子の第一人者、国枝慎吾選手(ユニクロ)も通った。

 伊佐さんは「歩行を目指し成功体験を重ねるうちに趣味や進学、仕事に積極的になる人が目立つ。多くの人に訓練の効果を実感してもらいたい」と話す。同社=03(5809)9390。 (大坪拓也)

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