電事連の新会長 まずは信頼回復に全力で

西日本新聞 オピニオン面

 地球温暖化への対応、送配電網の強化、核のごみの最終処分場問題など課題山積の電力業界である。解決には幅広い国民の理解や支持が欠かせないにもかかわらず、原発の事故や地元有力者との癒着などがあり、電力業界の信頼は揺らいでいる。

 その業界団体、大手10社でつくる電気事業連合会(電事連)の会長に、九州電力の池辺和弘社長が就任した。業界トップとして、国民の信頼回復にまずは全力で取り組んでほしい。

 電事連は、地域独占の電力事業による豊富な資金力と政治力を背景に、政治家や中央省庁への働き掛けを行い、国のエネルギー政策に関与してきた。

 会長ポストはこれまで東京、関西、中部の大手3電力の社長が務めてきた。3社以外からの会長選出は初めてのことだ。異例の人事はまさに、電力業界の苦境を物語っている。

 最大手の東電は福島第1原発事故を起こし、実質国有化されている。2番手の関電は昨年9月、高浜原発が立地する福井県高浜町の元助役と幹部らの高額金品絡みの癒着が発覚し、会長と社長が引責辞任した。

 関電が設けた第三者委員会によると、金品の受領者は75人、総額は約3億6千万円相当に膨らみ、見返りの工事発注も行われていた。2018年の社内調査で不祥事の概要を把握しながら隠していた経営陣の行為は公益企業として許されるものではない。経済産業省業務改善命令を出したのは当然だ。

 この問題に端を発する不信感は電力業界全体を覆っている。昨秋、類似事案がないか自主点検を要請された各社は「ない」と国に報告したが、この内部調査で国民の疑念を完全に晴らしたと言えるだろうか。第三者を加えた過去にさかのぼった調査こそ、信頼回復につながるはずだ。電事連会長会社の九電が率先垂範してはどうか。

 電力会社を取り巻く環境は大きく変わった。小売りは全面自由化され、4月には送配電部門が分社化される。それでも安価な電力を安定供給する使命は変わらない。

 近年、北海道地震の際の全域停電(ブラックアウト)や台風による広域停電など電力の安定供給を損なう事例が相次ぐ。想定外の災害に備えハード、ソフト両面の対策も必要だ。早期復旧も地域に対する責任である。

 国と電力業界が推進する原発は温暖化要因である二酸化炭素を出さない半面、危険な放射性廃棄物を生む。太陽光や風力など再生可能エネルギーのコストが下がる中、将来を見据えた電源構成はどうあるべきか。業界が蓄積した知見と広い視野で国民とともに議論してほしい。

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