「西サハラの実情を知って」 独立支援の新郷さんが著書「抵抗の轍」

西日本新聞 古長 寛人

 アフリカ北西にある旧スペイン植民地「西サハラ」の独立運動を長年支え続ける新郷啓子さん(70)が「抵抗の轍(わだち) アフリカ最後の植民地、西サハラ」(インパクト出版会、2530円)を発刊した。新郷さんは福岡市出身で、現在はスペイン在住。領土の大半をモロッコに実効支配されている西サハラの「実情を訴えたい」と力を込める。

 現地は化学肥料の原料などになるリン鉱石の産地で、漁業資源が豊富。新郷さんによると、1976年のスペインの撤退に伴い、西サハラを「再統合した」というモロッコと、独立を主張する現地住民の「西サハラ民族解放戦線」との間に戦闘が発生。91年に国連和平案のもとに停戦が発効したものの、大部分はモロッコに支配され、隣国アルジェリアの難民キャンプには17万6千人ほどが暮らすという。

 新郷さんはフランス留学中の82年、西サハラの紛争を描いたドキュメント映画に衝撃を受け、独立を支援する活動に取り組むようになった。99年、スペインに移住し、非政府組織(NGO)のメンバーとして、難民キャンプの子どもたちのホームステイ活動やキャンプへの食料、医療物資の運搬などに尽力してきた。

 「抵抗の轍」は8章の構成で、紛争の背景やモロッコ支配下で抵抗を続ける人々の様子などを描く。停戦協定が結ばれる中、国連は統合か独立かを選択する住民投票の早期実施を求めているが、数十年たっても、実施のめどすら立っていない現状を説明する。

 新郷さんは「現地では、戦闘再開を訴える若い世代の声が高まりつつある」と危機感を強め、「西サハラについて日本の人々に知ってもらうことで、和平に向けた国際的な機運を少しでも高めていきたい」と語る。(古長寛人)

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