断層帯が通る九州一の繁華街、リスクに備えを 福岡西方沖地震15年 

西日本新聞 くらし面

新局面 災害の時代―後悔しない備え❿

 2005年3月20日に起きたマグニチュード(M)7の福岡西方沖地震から、15年を迎えようとしています。福岡都市圏など九州北部の方々はご自宅や勤め先の備えは進んでいますか。

 当時、津波注意報が出されたのに、福岡市には防災行政無線のスピーカーがなく、海沿いの市民に直接伝わらなかったと聞きます。今はスマートフォンのアプリやメールで通知する仕組みも取り入れられていますが、警報は近地津波の到達までに間に合わない可能性が高く、警固断層帯で起きる地震は前回紹介した万寿津波より、はるかに切迫したリスクと言えます。

 私も6年前に九大に赴任するまで、玄界島だけが被害に遭ったような印象を抱いていましたが、警固断層帯が福岡市の天神付近を通ることに驚愕(きょうがく)しました。

 この辺りは九州一の繁華街。東京で言う銀座と原宿を合わせたような、老若男女、インバウンドの外国人まで集う場所です。一部に木造家屋の密集地も残り、建物崩壊と火災の複合災害となる恐れがあります。耐震と液状化対策も追い付いているのか気掛かりです。

 そんな場所に九州中から憧れを求めて遊びに来た中高生たちが、M7級の地震に遭ったら―と思うとぞっとします。初めての繁華街でどこに避難すればよいか分からずパニックに巻き込まれる恐れがあります。

 親御さんや先生の中に、天神に行く若い子に「地震や津波で危ないエリアだ」と、水を差すようでも教えている人はおられますか。「万一の時は川から離れた警固公園など広い空間や、ビルの倒壊や将棋倒しに巻き込まれないよう安全を確保できる場所に逃げ、津波警報が出ればすぐ高いビルへ」「携帯電話は回線混雑でつながらないだろうから、無料通信アプリのLINEか公衆電話などで安否確認を」。そんな具体的な防災教育をしておられるでしょうか。そうでなければ、すぐ伝えてください。

 その天神にスタジオがあるコミュニティラジオ天神の番組に、元KBCアナウンサー佐久間みな子さんに呼んでいただいた際、「東日本大震災の直後、帰宅難民になった都民は、歩いて帰るためパンプスや革靴を履き替えようとして靴屋に殺到し、スニーカーがあっという間になくなった」という話をしました。

 熊本地震の特番で再び出演した時、佐久間さんの足元にはシルバーのスニーカーが輝いていました。ステキな女性はいくつになられても柔軟で、良いと思ったことはすぐに取り入れられるのだと感心しました。

 15年は人間の記憶を薄れさせるには十分な時間ですが、46億年もの地球の活動歴から見れば一瞬。M7より大きい地震が天神付近を震源に警固断層帯でいつ起きても不思議ではありません。地震の発生に周期説は当てはまらず、予知もできないのです。福岡固有のリスクに注意しましょう。(九州大助教 杉本めぐみ)

 ◆備えのポイント 勤務先や学校には、もしもの時に備え、スニーカーを置いておきましょう。避難時を考えれば、生徒の上履きにスリッパはお勧めできません。天神の繁華街にはスニーカーで!

 ◆すぎもと・めぐみ 京都府出身。京都大大学院修了。東京大地震研究所特任研究員などを経て2014年から九州大助教。専門は防災教育、災害リスクマネジメント。編著に「九州の防災 熊本地震からあなたの身の守り方を学ぶ」

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