長崎の観光業悲鳴、見えぬ終息 製造業は一時生産停止も

 新型コロナウイルスの感染拡大が長崎県内の経済活動にも影響を及ぼしている。ウイルスの封じ込め策として世界中で「外出」の自粛を求める向きがあり、特に県が重要な産業と位置付ける観光業へのダメージが大きい。製造業では海外からの部品の調達が一時滞った企業もある。見通せない状況が続く。

ホテル、バス、タクシーキャンセル続出

 「日々の収入がほぼゼロの施設も散見され、経営に悲鳴を上げている」。約270のホテルや旅館でつくる「県旅館ホテル生活衛生同業組合」の村木営介理事長は13日、中村法道知事との面会で危機感を示し、経営支援や事態が落ち着いてからの観光振興策を求めた。

 各地でキャンセルが相次ぎ、雲仙地区では1~6月で延べ約2万3千人、島原地区では3~5月で約2万5千人の予約が飛んだ。長崎市内の3月の売り上げは個人客中心の施設で5割減、団体客中心の施設では8割減になる見通しだ。

 各地で続く臨時休校で修学旅行も中止となり、ホテル長崎(長崎市)は2月末から3月19日まで休館。売り上げの3割強を修学旅行が占める稲佐山観光ホテル(同)は3~4月の15校すべてがキャンセルとなり、担当者は「ホテルはどこも同じような状況と思う」と声を落とした。

 佐世保市の九十九島周辺の観光施設を運営する「させぼパール・シー」によると、中国政府が海外への団体旅行を禁止した1月下旬以降、水族館海きららと動植物園森きらら、遊覧船の3施設で団体客のキャンセルが延べ2万人に上っている。3月の入場・乗船客数は例年の7割減という。

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 観光業は裾野が広いだけに影響も大きい。世界遺産の教会、博物館に加えて9日からは敷地内の全面閉鎖が続く大浦天主堂近くの土産物店では、1月末ごろから外国人客が減り、3月からは日本人客も減少。店側は呼び込みに力を入れるが、接触を恐れるためか「お客さんの店内での滞在時間が短くなった」と女性店員は言う。

 県内大手のラッキー自動車(長崎市)では観光地を巡る貸し切り利用の3月分の予約の9割がキャンセルに。2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)を記憶する担当者は「当時もここまではなかった」と振り返る。海外からのクルーズ寄港もぱったり途絶え、貸し切りバス事業者の3月上旬の予約件数は前年同期比8割減だ。

 JR九州は、春休み期間を含む20日から4月5日の特急の「かもめ」と「ハウステンボス」約330本を運休。3月28日に開業する新しいJR長崎駅の記念式典も中止になった。

 西肥自動車(佐世保市)と西日本鉄道(福岡市)が共同運行する佐世保・ハウステンボス-福岡の高速バスは、1~8日の利用客が例年の49%減となったことなどから、21日~4月24日の平日6往復、土日祝日7往復の運行を取りやめる。

 企業の生産にも影響が出ており、デジタルカメラを製造する長崎キヤノン(波佐見町)は中国からの部品調達が滞ったため2~13日の操業を停止し、16日に再開。生産の遅れは休日に稼働日を振り替えるなどして対応する方針という。

 一方、三菱重工業長崎造船所(長崎市)は、中国で予定されていたイタリアのクルーズ船運営会社の1隻の修繕などを受注した。同社の関連会社員は「どんな格好であれ、長崎に船の仕事が生まれるのはありがたい」と話した。(岡部由佳里、華山哲幸、西田昌矢、宮崎省三)

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