宮崎牛「見えない敵」に苦境 口蹄疫から10年…農家に危機感

西日本新聞 九州経済面 古川 剛光

 全国ブランド「宮崎牛」で知られる宮崎県に新型コロナウイルスの感染拡大が影を落としている。消費増税などの影響で昨年末から全国的に枝肉価格が下落傾向だったところに、感染拡大による外食需要の落ち込みや訪日客の減少で追い打ちを受けた格好。子牛価格も低下し、繁殖農家にも影響が広がる。家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」発生から4月に10年を迎える同県は、新たな「見えない敵」の脅威にさらされている。

 JA宮崎経済連は12日にあった県との会合で苦境を訴えた。グループ会社が運営する宮崎牛専門高級レストラン「博多みやちく」(福岡市博多区)は、インバウンド客の激減で2月の売り上げが前年比4割減。3月は前年比1~2割の売り上げしかない日もある。加えて異動に伴う歓送迎会などの自粛で、宮崎産牛肉を扱う一般飲食店の売り上げも落ち込んでいる。

 経済連によると、東京や大阪、福岡などの食肉市場では、宮崎牛を含む宮崎県産牛の枝肉価格は2月が前年比2割安、3月は同3割安。このため、子牛を成牛に育てて出荷する「肥育農家」の収入が減少。子牛の購買意欲が鈍くなり、子牛価格が低下。母牛から子牛を産ませる「繁殖農家」にも影響が出始めたという。

 児湯(こゆ)地域家畜市場(同県新富町)で9、10の両日に行われた子牛計約860頭の競りの平均価格は、前回取引があった1月より約10万円安い約71万5千円。2015年以来の安値水準。子牛価格の下落は全国的で、農畜産業振興機構(東京)がまとめた2月の全国主要家畜市場の取引平均価格は昨年同期比7・6%安い約72万4千円だ。

 児湯地域家畜市場の担当者は「肥育農家、繁殖農家ともに厳しい状況」と危機感をあらわにする。同県新富町の和牛農家の30代男性は「子牛が高値のとき肥育を始めており、餌代などを考えると採算割れしかねない状況。今はいい牛をつくるしかない」と言い聞かせるように話す。 (古川剛光)

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