復興と人口減少 見つめ直す玄界島の「いま」 福岡沖地震15年

西日本新聞 ふくおか版 下村 佳史

 福岡沖地震の発生から20日で15年となった福岡市西区の玄界島。震源に最も近く大半の家屋に被害が出たこの島で地震後、荒天の年を除き毎年実施されてきた防災訓練は、新型コロナウイルス感染拡大で中止となった。島では発生時刻の午前10時53分にサイレンが鳴らされた。「地震の記憶を風化させまい」と気持ちを新たにした島民たち。一方で、人口減少が続く島をどう活気づけるのか、厳しい現実をしっかりと見つめ直す島民もいた。

 ほかの漁師とともに漁を控え、この日を島で過ごした宮川進行さん(71)は、4日前に県内で起きた震度3の地震に思わず身を縮めたという。「また、突き上げるような強烈な揺れが襲ってくるのではないか」。傾斜地に密集する集落で家屋が全壊し石積みの擁壁や道が崩落した記憶がよみがえった。「訓練はあの日を教訓にし、災害に備える思いを呼び起こしてくれる。今年は中止になったが、途絶えさせずに続けていかないと」と話した。

 島民の強い団結力で早期復興が実現し、一戸建て約50戸、市営住宅65戸、県営住宅50戸が整備された。整然と立ち並ぶ住宅街は、都市近郊のニュータウンを思わせる。ただ、60代の漁師は、こんな話をした。「子どもの頃、お使いを頼まれたとき、相手の家がある場所を知らないと恥ずかしかった。子供心に集落のことを知ろうとしていた。でも、今は島民の付き合いが薄くなってしまった」

 島の生活が大きく変わる中、島を離れる若者が増え、65歳以上が人口に占める割合は4割超。完成直後、ほぼ入居者で埋まった市営、県営住宅は現在2割が空き部屋だ。「漁業の人手は足りていない。若者に戻ってきてほしい」。全国の人々から支援を受け復興を遂げた島だからこそ、島を元気に存続させることが「恩返しになる」。漁師は、若者が島の暮らしに魅力を抱く施策を切に願っている。 (下村佳史)

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