佐世保市の中央公園再整備 市民と意見交換の場必要 

西日本新聞 長崎・佐世保版 竹中 謙輔

◆コミュニティーデザイナー山崎亮さんに聞く

 市民の憩いの場であり、共有財産でもある公園。その整備はどのようにして進めるべきか。市民参加の場づくりに詳しいコミュニティーデザイナー、山崎亮さん(46)に聞いた。

 佐世保市の計画の周知は不十分かもしれないが、市民も情報のアンテナを張っていなかったのではないか。今後は市民が参加して、わがまちの公園を学ぶ場を持つことが必要だ。

 そのときに、行政が「公園について意見を出してください」と付箋か何かに考えを書かせ、まとめて終わり、というワークショップでは意味がない。集まった市民が体験を出し合い、みんなで公園の歴史も学ぶ。時間をかけて公園の在るべき姿を理解したい。

 公園の歴史をたどると、19世紀の英国までさかのぼる。住環境が悪く、ペストが流行していた時代。貧しくて庭を持てない人でも、太陽光を浴びる空間が必要という考えから「オープンスペース運動」として広まった。公園の成り立ちには福祉や社会保障の観点があった。

 昨今のPFIは、行政がそれを実現することが目的になっている気がする。公園の一部を営利目的に利用し、そのお金で公園の維持管理をする。自治体の財政負担軽減になる。いい仕組みだが、丁寧な市民参加ができるか、慎重に観察しないといけない。

 世界に目を向けると、米ニューヨークのブライアントパークは民間の活力を導入した有名な事例で、15年前に整備された。すると、1年の3分の2は芝生広場にサーカスが鎮座し、一般市民が使いにくくなった。サーカスに土地を貸し、高額な賃料を民間業者が得ていた。これに市民が怒り、民間企業の長期占有を禁止した。

 民間の資金や発想を生かした公園が増えると、お金を払えない人の居場所がどんどんなくなっていく。日本の公園行政も、PFIの良い面だけを見るのではなく、うまくいかなかった事例にも学びたい。

 公園という社会資本整備は社会保障の一環。美しい風景の中でのびのびと過ごすことができる権利。運動して、人や自然に触れる権利。それを実現するために税財源で整備する。行政は「公園は人々の福祉を支えている」と主張し、予算を付け続けるべきだ。

 佐世保市がホームページで発信している名切地区の再整備計画に「市民参加」の項目がある。その言葉通り、丁寧な市民参加が求められる。市民と意見交換をする場ができることを望む。(聞き手・竹中謙輔)

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山崎亮さんの略歴

 愛知県生まれ。株式会社studio-L代表。慶応大特別招聘教授。著書に「コミュニティデザイン-人がつながるしくみをつくる-」「藻谷浩介さん 経済成長がなければ僕たちは幸せになれないのでしょうか?」(共著)など。

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