一斉休校で働き方一変…先生たちの本音は?

西日本新聞 社会面 金沢 皓介 四宮 淳平 前田 英男

 新型コロナウイルスの感染防止策として、政府が打ち出した全国の小中高校などへの一斉休校要請。学びやに子どもたちの姿は消え、卒業式や部活動、大会が縮小、中止されるなど春の風景は一変した。あくまで「非常時」の対応だが、教師たちには自らの働き方と向き合う機会にもなった。先生たちの本音は?

 「ただでさえ忙しい年度末に、これだけゆとりがあるのは教師人生で初めて」。福岡県の県立高校の40代男性教諭はこう明かす。3月上旬からの休校に伴って顧問を務める野球部の部活動も中止になり、この時期、残業して夜間に作業していた指導要録の作成が日中できるようになった。

 これまで100時間を超えていた毎月の残業時間。それが3月は、土日が休みで平日も定時で帰っている。「夫婦で旅行に行く時間ができた」との同僚の声も。ただ、生徒と向き合う仕事にやりがいを感じている男性教諭は「プライベートも大事だが、早く日常が戻ってほしい」と複雑だ。

 福岡県の公立中の50代男性教諭も、成績表の作成を例年より1週間早く終えた。平時なら授業に生徒指導、学校行事、部活動といった業務の合間に進める作業だ。例年の多忙を振り返りつつ「減らしていい仕事はない」とも気付かされた。「本気で改革を進めるなら教師を増やすしかない」

 多くの小中高校は来賓あいさつを省くなど、大幅に時間短縮して卒業式を実施した。福岡市の中学校に勤める女性教諭は「卒業生の名前も呼べてコンパクトに収められた。来年度以降の見直しも考えていい」と本音を漏らした。

 一方、鹿児島市の50代女性が勤める小学校は24日に卒業式を控える。時間短縮は決まっているが「子どもがかわいそうだから職員が1人ずつメッセージを書こう」と同僚が提案した。女性教諭は「気持ちは分かるけど、思いも表現法もそれぞれある。『子どものために』という大義名分で、新たな仕事を増やす必要はあるのか」と冷ややかだ。

 全国の小学校では4月から、新たな学習指導要領が導入される。女性教諭は「時間を割くべき大事なことはほかにある。音頭を取る管理職は、近隣の学校と足並みをそろえようとするだけだ」と不満を口にした。

 管理職はどう受け止めているのか。福岡市の小学校の50代男性校長は「目の前のことで精いっぱいの今の非常対応が直接、教職員の業務改善につながるとは思えない」。大分県の男性小学校長(58)は「慣例通りにやるのは現場が楽だから。学校行事を見直す場合は、科学的に検証する必要がある」と話した。

 政府は休校要請を延長せず、新学期から感染拡大の危険がある地域を除き再開を促す方針を20日に示した。

 名古屋大大学院の内田良准教授(教育社会学)は「今回を特殊な出来事と捉えるのではなく、業務が最小化され考える余裕がある今だからこそ、学校が本来何をやるべきかを考え、働き方を見直すきっかけにしてほしい。子どものためという、過剰なおせっかいにはブレーキをかける必要がある」と提言する。 (金沢皓介、四宮淳平、前田英男)

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