「戦うトランプ」巧妙な演出 衰えぬ人気の理由、集会で探る (2ページ目)

西日本新聞 田中 伸幸

「生命線」は大規模集会…コロナで中断は痛手に

 トランプ大統領にとって支持者に直接語り掛けることができる大規模集会は選挙運動の「生命線」といわれる。激しく対立してきたリベラル系のメディアだけでなく、最近では保守系メディアの一部からも弾劾裁判などを巡って厳しい指摘を受けるトランプ氏は「事実が伝わらない」と不満を募らせており、集会の重要性はより増している。

 トランプ陣営は民主党の集会を圧倒する動員数はもちろん、イメージ戦略も重視する。トランプ氏の「岩盤支持層」は白人の男性労働者や退役軍人ら軍関係者、キリスト教福音派などだが、黒人が多いサウスカロライナ州では演台に立つトランプ氏の背後に黒人の姿が目立った。「支持率が低い非白人層からも支持されていると見せる演出」との見方がもっぱらだ。

 黒人や女性などに対象を絞った小規模集会も開催。参加申込時にメールアドレスなどの個人情報を集め、その後、連日のように献金を呼び掛けるといった活動も抜かりがない。

 大規模集会の開催地は、前回大統領選で勝利した中西部などの激戦州が中心。民主党の候補指名争いが始まってからは、予備選や党員集会の日程に合わせてその数日前に現地入りし、民主党を罵倒する演説を繰り返してきた。

 トランプ氏の演説について、上智大の前嶋和弘教授(米現代政治)は「国内の政治的分断が激しく、再選には支持者のつなぎ留めが不可欠な状況の中、どんな演出が必要かを歴代大統領の誰よりも理解している」と評する。

 だが、新型コロナウイルスの感染拡大で集会の開催は当面、難しくなった。トランプ氏は感染拡大の影響が夏まで続く可能性に触れたが、11月の大統領選目前の秋以降も集会が開けない状態が続けば再選戦略上、痛手となりかねない。

 政権のウイルス対応を批判する民主党などに対し、トランプ氏は相変わらずツイッターで激しく反論しているが、対応を誤れば批判が高まる恐れがある。トランプ氏はコロナ関連の記者会見に姿を見せては「目に見えない敵との戦争に勝利する」と豪語するなど「戦時下の大統領」との印象を打ち出そうと躍起だ。

(ワシントン田中伸幸)

 

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