大学入試の英語試験でも配慮可能 菊池良和(九州大病院・吃音外来医師)

西日本新聞 医療面

連載:吃音~きつおん~リアル(17)

 新しい大学入試の英語試験に関するお話です。

 担任から「全員がGTEC(英語民間検定試験の一つ)を受験します」と聞かされた高校1年の女子生徒。「GTECのスピーキング試験は、吃音(きつおん)症の人に配慮がありますか?」と尋ねると「何もありません」。つい一昨年の話です。

 吃音のある人は、発話能力を試されることに不安と恐怖を感じるものです。幼少時から言葉に詰まることを笑われ、まねされ、注意されてきたこと、声が出ないときには大人に「反抗している」などと誤解された経験が重なっているせいもあると思います。私自身も中学、高校時代は英検2次試験の面接が怖くて、一度も受験していません。

 GTEC、英検などの民間試験は、現行の大学入試センターの後継となる大学入学共通テストで活用されるため、重視されています。2020年度の導入は見送られましたが、今の中学1年生が受験生となる24年度には新形式の試験を始める方針です。従来の「聞く」「読む」に「話す」「書く」を加えた4技能で評価することになります。

 「話す」ことにハンディのある吃音症や場面緘黙(かんもく)症の受験生は、過小評価されるのではないかと危機感を抱いています。19年、私は吃音がある人たちの団体「言友(げんゆう)会」と連名で文部科学省に配慮を求める意見書を提出しました。障害者差別解消法が禁じる「合理的配慮の不提供」に該当する可能性があるからです。

 結果、GTECや英検などの民間試験に、吃音がある受験生への配慮が追加されました。最も配慮してくれる英検は、試験官に待つ姿勢を徹底するだけでなく、「筆談」という選択肢も用意しています。

 私の吃音外来を訪れる中高生やその保護者は、将来向き合うであろう困難に対して社会が配慮してくれるという事実だけで安心しています。 (九州大病院医師)

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