「泣きそうです」たまる“コロナ疲れ” 専門家に聞く不安減らす方法

西日本新聞 医療面 井上 真由美

 世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に収束の兆しが見えない中、行事やイベントの中止が相次ぎ、外出もままならない状況が続く。異例の事態に気分が沈んでしまう「コロナ疲れ」「コロナうつ」を訴える人も目立ち始めた。どうすれば、平穏な気持ちを保てるのだろうか。

 西日本新聞アプリの「みんなのモヤモヤ会議」で、「コロナ疲れ…愚痴りませんか」をテーマに意見を募ったところ、19日までに約60件の声が寄せられた。

 医療従事者からは「不安の中での仕事です。マスク必須ですが、そろそろ底を突きます。泣きそうです」。商業施設の従業員も「マスクはしてますが、接客もしているので、いつ自分が感染するか不安でなりません」。「自分だけが感染するならよいが、周りを巻き込んでしまわないか、休みの日も家から出るのが怖い。高齢の両親に会いに行くのを控えている。孤立がとても怖い」。目に見えないウイルスへの不安と恐怖は大きい。

 子育て世代の疲れも募る。「地域の子育て支援センターは閉鎖。ショッピングモールも怖くて行けない。イヤイヤ期の息子と1日家で過ごすのは息が詰まる。疲れた」。夫が年度末で忙しく、毎日帰宅が遅いという女性も「資格取得のためのリポート期限と子供の夜泣きが重なりストレスがたまる中、歩けない、しゃべれない子供と一日中2人。誰かにうつす可能性もあり誰にも会えない。独り言で生活しとる」

 イベント自粛を嘆く声も目立つ。「予定していたライブ、ホークスの試合、みんな無くなっていきます。何を楽しみに暮らしていけばいいのか」。ストレス発散の場が失われる半面、仕事へのしわ寄せは増す。「コロナで時差出勤、残業禁止。仕事の忙しさは変わらず、日々仕事がたまっていく」

 社会にまん延する殺伐とした雰囲気に傷つく人もいる。「この間、マスクをして電車に乗った時にせきが出たら、近くの人たちが席を立っていった。まるでバイキンでも見るように。花粉症とせきぜんそくがあるだけなのに。悲しかった」

 そんな中、楽しみを見いだす人もいた。「仕事がキャンセルになって家にいる時間が増えたので、いい機会だと『断捨離』に励んでいます。3月にスッキリ、大掃除です!」「外出しなければ余計なお金を使わず、家の隅々まで掃除する時間があるし、いつもなら仕事や時間に追われてしっかり見ることができない子どもたちの勉強も教えてやれます。天気が良い日は公園でたくさん遊んで、自転車に乗れなかった娘も上手に乗れるようになりました。悪いことばかりじゃなくて、今の生活だからこそ、できることもたくさんあると気づきました」

■専門家2人に聞く 心身の不調、誰にもリスク 情報過多避け、気分転換を

 閉塞(へいそく)感が広がる日々を過ごす上で、気をつけることや不安を軽減する方法を専門家に聞いた。

 「誰も経験したことのない異例の事態で、日本のほぼ全員が何らかの我慢を強いられる生活を送っている。気分の落ち込み、心身に不調を来すリスクは誰にでもある」。九州大病院精神科神経科の加藤隆弘講師(精神医学)はこう指摘する。事態が長期化し、景気悪化も重なると「心の症状の深刻化、自殺の増加などにも注意が必要になる」と話す。

 さらに、厚生労働省は感染拡大防止策として、人と人との接触を減らすよう促している。加藤講師は「インターネットや会員制交流サイト(SNS)などで代用できる部分はあるが、人と人が直接会うというコミュニケーションが心身に与える効果は計り知れないほど大きい。自粛が長引けば、孤独を癒やそうとしてアルコール、ゲーム、ネットなどの依存症が増える恐れもある」と警鐘を鳴らす。

 異変を感じたら早めに家族や友人、専門の電話相談窓口などにつらさを打ち明け、助言を受けるよう勧める。また、休校中の子どもたちはゲーム依存、生活の乱れによる肥満など心身不調のリスクが大きいとして「規則正しい生活を送り、睡眠リズムや食事内容が乱れないよう気をつけて」と呼び掛ける。

   ◇   ◇

 メンタルケアに詳しい矢島潤平別府大教授(健康心理学)は「ウイルスという見えないものに対する不安や恐怖が募っている状況。『疑わしい症状があったらどう行動するのか』といった正しい情報を知るだけで不安は軽減されるはず」とみる。一方で、情報に接し過ぎて不安をあおられるケースもあるため「1日に情報収集する時間を決めるなど、入ってくる情報を意識的に絞るのも一つの方法だ」と助言する。

 外出先が制限されて難しい面もあるが「一人になる時間をつくったり、気分転換したりする機会も必要」とする。多種多様な企業がインターネットなどで無料公開している動画やアプリを積極的に利用したり、簡単にできるリラックス方法を試したり、体を動かしたりすることも良いという。

 東日本大震災の支援に出向いた人たちのメンタルケアに携わった矢島教授。今の社会を覆う殺伐とした雰囲気について「被災後、一時的に攻撃的になる人はおり、今回も異例な事態にのみ込まれる人は出るだろう。みんなが同じようにストレスを抱えているのだから、誰かに話すことで気持ちを切り替えてみてほしい」と話している。 (編集委員・井上真由美)

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