「ワニは本当に死ぬのか?」。先週、ネットの世界ではワニの運命が…

西日本新聞 オピニオン面

 「ワニは本当に死ぬのか?」。先週、ネットの世界ではワニの運命が話題の中心となった。漫画家のきくちゆうきさんがツイッターなどに掲載していた「100日後に死ぬワニ」が最終回を迎えたのだ

▼昨年12月12日から始まった1日1話の4こま漫画で、擬人化されたワニくんの日常がつづられる。ワニくんはリサイクルショップでバイトする青年。友人のネズミくんとゲームしたりテレビを見て笑ったりの生活だ

▼ただ読者は毎回付けられる「死まであと○日」の表示にドキリとする。一方ワニくんは自分が死ぬことを知らないらしく、能天気に暮らしている

▼ワニくん本人は分かっていないが、その死を意識した読者から見ると、ワニくんの何でもない日常が切ないほどいとおしく思えてくる。先週金曜の100日目、ワニくんの死は明示されず、満開の桜の光景で終わった

▼連載が後半に入った頃から日本は新型コロナウイルスの襲来に見舞われた。人々が「生と死」を意識し、生活に大きな制約が出た。こうした社会状況下で、日常を淡々と描く作品の人気が急上昇した

▼ところでこの漫画の最終回に合わせ、映画化など大規模なメディア展開が発表されたため、一部のファンが「最初から大手企業の仕込みだったのか」と臆測を巡らせ、反発する騒ぎとなった。確かに、もう少し余韻を味わわせてほしかった、というファンの気持ちは分かる気がする。

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