裁縫は全くの未経験…“くるっぱ‟の衣装手作りする市職員

西日本新聞 筑後版 片岡 寛

 福岡県久留米市外郭団体臨時職員の久野桜子さん(57)は、3月で誕生から丸7年を迎えた久留米市のイメージキャラクター「くるっぱ」の衣装作りを一手に担う。サンタクロース、ソフトバンクホークスのユニホーム、花いっぱいのドレス…。これまでに仕上げた衣装は15~16着に上る。すべて手仕事。「くるっぱの表情や丸い形が大好き。孫の発表会の服を作る祖母の気持ちです」。くるっぱの活躍を、わが孫のことのように喜ぶ。人呼んで「くるっぱを好きすぎる人」だ。

 佐賀県白石町出身。陸上自衛官だった夫の異動に伴い、兵庫県姫路市や北海道内を転々とする転勤族だった。北海道から2011年に福岡県春日市に転居し、現在は久留米市内に定住する。

 くるっぱとの出合いは、13年4月に市役所の総合政策課で臨時職員として働き始めたこと。同じフロアにあったくるっぱの担当部署で、14年8月の水の祭典久留米まつりに向けて「くるっぱにはっぴを着せたい」「去年と違ったことができないか」と議論が盛り上がっていたところ、課を超えて衣装作りに手を上げた。

 「皆さんが一生懸命だったので私も加わりたくて。佐賀の実家にミシンがあったのを思い出したんです」

 ただ、裁縫は全くの未経験。胴回りが約3・6メートル、球体に近いくるっぱの体形に合わせた衣装作りは、試行錯誤の連続だった。自宅で手縫いとミシンで作った衣装を、何度も着ぐるみに合わせながら、目立たないように緑のゴムを付けたり、背中の甲羅にひっかけたりと、衣装がずり落ちないよう工夫も凝らした。製作期間は約1カ月。「今見るとつぎはぎだらけ。悪戦苦闘でした」と振り返る。

 次第に他部署からもそれぞれのイベントに合わせた製作依頼が舞い込むようになった。生地は経費で購入しているが、知人から久留米絣(がすり)の古着をもらったり、女性職員がウエディングドレスをくれたりと、支援の輪が広がる。

 昨年12月には、ふるさと大使就任で市役所に来た柔道の素根輝選手を、柔道着姿のくるっぱが出迎えた。「素根選手がかわいいと言って喜んでくれて、感動しました」。柔道着の背中には、素根選手の大きなサインが書き込まれている。

 衣装の充実とともにくるっぱの知名度も向上。今や、市のイベントには欠かせない存在となり、周囲には子どもたちの笑顔や歓声が広がる。「頑張ってきたかいがありました。これからも子どもたちに喜んでもらいたい」

(片岡寛)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ