大雨とコロナ、ダブルパンチに落胆 旅館や被災企業が再建長期化懸念

西日本新聞 佐賀版 梅本 邦明

 昨年8月に佐賀県内を襲った記録的大雨で風評被害にあった旅館や被災企業が、新型コロナウイルス感染拡大のあおりも受けるダブルパンチに頭を悩ませている。大雨から立ち直ろうとする中で、衛生対策強化に追われ、コロナ禍が経営に影を落とす。関係者は影響の長期化を懸念する。

 人影がまばらな武雄市武雄町の温泉通り。「宿泊のキャンセルばかりで新規の予約はほとんどない」。旅館「懐石 宿 扇屋」社長の山下裕輔さん(59)は肩を落とす。

 市中感染の不安が広がり、2月下旬から3月上旬にかけての宿泊客数は前年同期に比べて半減。予約客の約7割が取り消しになった。「歓送迎会のシーズンで稼ぎ時なのに」と嘆く。

 温泉通りは昨年の大雨で大きな浸水被害は免れたものの、冠水地域の映像がテレビなどで流れ、風評被害に悩まされた。扇屋は大雨後の約2週間、キャンセルが相次いだ。さらに昨年10月の消費税増税や、佐賀空港の韓国便休止も重なり「観光関係者にとってワンツーパンチ」(山下さん)となった。

 新型コロナウイルス感染を防ぐため、扇屋ではチェックインなどの手続きをロビーではなく各客室で行うように改め、客同士が接する機会を減らした。

 武雄市観光協会会長を務める山下さんは旅館21軒に対し、食事やトイレ、洗面所は客室内の設備を利用し、大浴場の使用人数を制限するなどの対策マニュアルを通知した。「武雄のどこかで感染者が出たら全ての旅館がアウトになる。協力して難局を乗り越えるしかないが、先は見えない」と危機感を抱く。

   □    □ 

 「安全面を考慮するとやむを得ない」。新酒シーズンを迎えた小城市小城町の天山酒造。社長の七田謙介さん(49)は唇をかんだ。

 新型コロナウイルスの感染予防のため、20日に予定していた春の蔵開きは延期した。団体客の酒蔵見学は断り、都内や香港での販促イベントは中止になった。

 2月の売り上げは前年同期より微減にとどまったが、「3月はもっと影響が出るだろう」と懸念する。

 同社は昨年の大雨で酒蔵が水に漬かり、こうじ室の壁や床を張り替え、昨年11月に何とか初搾りを迎えることができた。そのさなかでのコロナ禍に「被害を乗り越え、軌道に乗ろうとしていたのに残念」。

 歓送迎会や花見は自粛ムードが漂い、日本酒の需要は見通せない。七田さんは「お酒は心を癒やしてくれる。何が何でも自粛ではなく、少人数で集まったり自宅で飲んだりするなど、うまくお酒と付き合ってくれればいい」と早期の収束を願う。(梅本邦明)

佐賀県の天気予報

PR

佐賀 アクセスランキング

PR

注目のテーマ