別れの春に乾杯なし「仕方ない」 宴会自粛、異動シーズンを直撃

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、送別会などの宴会を自粛する動きが福岡県筑豊地区でも広がっている。会社員や公務員らを取材し、どのように対応したかを尋ねた。

 福岡市のホテルで開く予定の50人以上が参加する送別会が、会社からの自粛要請を受け、直前に中止。キャンセル料は数十万円-。23日に内情を教えてくれた飯塚市の会社員男性(25)は「費用は毎月積み立てていたので臨時の出費はなかったけれど、納得いかない気持ちはある」と、やり場のない怒りを抱いていた。

 男性によると、業務の引き継ぎを兼ねて、20人程度で行う予定だった歓送迎会も、上司の判断で中止になったという。「このご時世なので仕方がない」としながらも、「楽しみにしていたので、個人的に連絡を取った人たちと、プライベートで飲み会を開きました」と教えてくれた。

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 田川市のある小学校では、校内全体での歓送迎会が中止となった。50代の管理職男性によると、学校では新年度に、離任した教員と着任した教員を呼び、歓送迎会を一度に行うといい、多くの人が参加するため、昨年夏に会場を押さえていたが、このほどキャンセルした。男性は「歓送迎会を含め、毎年あまりにも飲み会が多かった。飲み会の回数を考える良い機会となったかもしれない」。

 飯塚市のある中学校でも25人が参加予定だった送別会がなくなった。幹事を任されていたという20代の教諭は「お店にも申し訳ない。親しい先生たち数人で食事に行こうかという話が出ている」と話した。

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 24日に新型コロナウイルスの感染者が初めて確認された飯塚市。同市役所の全職員には3月上旬、「各職場が主催する懇親会などは自粛」などとする通知が届いていたが、感染確認を受け25日、市人事課はあらためて注意喚起を促した。本年度の定年退職者は計20人いるが、ある職員は「職場での送別会は絶対にできない」と述べた。

 別の自治体の職員も「自治体として、公園での花見で飲食の自粛を呼び掛けているので、堂々と送別会を開けない」と強調した。ただ、例年、退職者に手渡す花に加え、記念品を贈ることも検討しているという。

 送られる側は複雑な心境だ。飯塚市の金融機関に5年間務め、九州外への転勤が決まった50代男性の職場では、会社からの通知もあり、大規模な送別会は中止になった。男性は「さみしい気はするが、運が悪く、仕方がない。ただ、4年間ずっと送ってきたのに…」と悔しさをにじませた。 (田中早紀、丸田みずほ、長美咲、福田直正)

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