トランプ氏「コロナと戦う大統領」戦略奏功 不支持率3年ぶり5割切る

西日本新聞 国際面 田中 伸幸

 【ワシントン田中伸幸】新型コロナウイルスの感染拡大が危機的な米国で、トランプ大統領の支持率がじわりと上昇し、不支持率との差が縮まっている。13日の国家非常事態宣言後、連日の記者会見で「目に見えない敵と戦う大統領」とアピールする戦略が奏功しているようだ。ただ、国民の安全と経済の両面で危機が進行する中、経済を優先して楽観論を掲げる姿勢は相変わらず。「信用できない」と切り捨てる有権者は依然多く、限界も透ける。

 政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」が26日時点でまとめたトランプ氏の各種世論調査の全米平均支持率は47・0%、不支持率は49・5%。不支持率が5割を切ったのは大統領就任直後の2017年3月以来、3年ぶりだ。

 米国内で感染拡大が深刻化し始めた2月から3月初め、トランプ氏は「少しも心配していない」などと事態を軽視する発言を連発し、昨年秋から上昇傾向だった支持率は下落に転じた。

 非常事態宣言後、トランプ氏は政府対策チームの記者会見に週末も欠かさず出席。会見はテレビで生中継され、自宅待機を余儀なくされている多くの国民が注視する。トランプ氏は感染拡大阻止や経済支援策について熱弁を振るい、普段は激しく対立する野党民主党系の州知事とも「今日も電話した。連携は緊密だ」と挙国一致ぶりを強調する。

 外食などの自粛を要請した政府の「行動指針」を4月中旬にも緩和したいといった楽観論も織り交ぜ、トランプ氏に批判的な層からも「国民に希望を持たせようという姿勢を感じる」(南部ミシシッピ州の自営業男性)などと好感する声が上がる。結果、今週に入って支持率は上向き始めた。

 11月の大統領選に向け大規模集会を開けなくなったトランプ氏が「会見を集会の代わりにして露出を増やす戦略」(識者)に切り替え、効果を上げた格好だ。

 一方、再選阻止を目指す民主党は焦りを募らせる。大統領候補指名争いを優位に進めるバイデン前副大統領は東部デラウェア州の自宅に急きょスタジオを開設。報道番組に中継で出演し「対策が遅すぎる」とトランプ政権を酷評するなど存在感を示そうと躍起だ。

 米国では「戦時下の大統領の支持率は大きく上がる」(政府関係者)が定説。だが、民主党支持者の多くは「会見に同席する専門家の説明は聞くが、トランプ氏の話は誇張が多く無視している」(ワシントン近郊の女性講師)と冷ややか。大幅な支持率上昇は見込めないとの見方も根強い。

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