東京の外出自粛 九州でも警戒を緩めるな

西日本新聞 オピニオン面

 新型コロナウイルスの国内感染は、一段と厳しい局面を迎えたと言えよう。

 東京都の小池百合子知事が週末の外出自粛を都民に求めた。こうした動きも受け、政府はきのう、特別措置法に基づく「政府対策本部」の設置を決めた。要件を満たせば、政府は私権制限につながる「緊急事態宣言」を発令することができる。

 小池知事はオーバーシュート(爆発的患者急増)の発生による、ロックダウン(都市封鎖)に至りかねないという危機感を示し、平日もできるだけ仕事を自宅で行い、夜間外出を控えるよう呼び掛けた。

 東京都は2月中旬から感染確認が増加傾向となり、自粛要請をした25日は、1日で40人を超えた。政治経済の中枢機能が集積する巨大都市で感染者が爆発的に増えれば、その影響の大きさは計り知れない。

 異例の自粛要請は、東京五輪・パラリンピックの延期が決まった直後でもあり、時機を逸したとか、逆に過剰対応ではないかという声もあるようだ。

 小池知事はきのう、周辺の県にも東京との往来自粛を求める意向を示すなど、何としても「首都封鎖」を回避しようという強い決意が感じられる。やむを得ない判断だろう。

 大規模スポーツイベントも都の要請を受け無観客実施が決まった。小さなライブなどの開催自粛も求めるという。こうした自粛要請に乗り出す自治体が今後、増える可能性がある。政府は事態の長期化を視野に、各種の自粛で大きな影響を受ける中小零細事業者の直接的な支援も積極的に検討すべきだ。

 感染は世界に広がり、危機的状況を迎えた国もある。外務省は全世界を対象に不要不急の渡航自粛を求めた。前例のない措置だが、国境を越えた人の出入りがなくなるわけではない。帰国者の検疫を徹底する「水際作戦」は引き続き怠れない。

 政府の専門家会議は先週、学校の休業やイベントの自粛は地域ごとの感染状況に応じて検討するよう求めた。しかし、きのうは「まん延のおそれが高い」という認識を示し、警戒を緩めぬよう警鐘を鳴らしている。

 さて、九州はどうだろう。感染確認が少ない地域では、警戒感に緩みが生じてはいないだろうか。集団感染が起きた大分県をはじめ、福岡県でも新たな感染確認が続く。人口が多い福岡市でもしも感染が広がれば、瞬く間にオーバーシュートが生じる恐れもあり得る。

 私たちは今、先の見えない感染症危機のさなかにある。その事実を改めて自覚し、自治体も市民も気を引き締め、感染拡大の防止に取り組みたい。

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