熊本市、コロナ封じ込め全力 8例目男性が施設利用 クラスター危惧

西日本新聞 熊本版 古川 努 綾部 庸介

 25日夜に県内8例目の新型コロナウイルス感染者となった70代無職男性には住む家がなく、熊本市の温浴施設を生活拠点としていた。どこで感染したかは不明で、市は「市中感染の可能性が高い」とみる。施設は不特定多数が利用しており、感染者集団「クラスター」の発生も危惧される。市は「最大の危機」と警戒を強め、封じ込めに全力を挙げる。

 市によると、男性は施設に寝泊まりしながら生活保護を受け、新たな住居を探していた。朝晩の食事は施設の食堂で、昼は外食していた。午前9時半に自家用車で施設を出て、午後2時ごろに施設に戻る毎日。風呂やトイレを使い、休憩室や仮眠室で寝ていた。

 市は「食堂や寝る場所では隅っこにいた」との情報を得ているが「閉じられた空間であり、感染リスクが低いとは言えない」。発症した21日以降も生活サイクルは変えず、23日には東区役所で面談。肺炎の疑いがあった24日も温浴施設で過ごし、25日朝まで施設に滞在していた。

 27日午後3時現在、施設利用者と従業員の一部、感染者の友人、区役所職員の計69人がウイルス検査を終え、いずれも陰性。市は今後、全従業員69人の検査と健康観察を行い、接触者や希望する施設利用者の検査を進める方針。

 ただ、21日から5日間の施設利用者数は延べ約1300人に上る。1日当たり約260人のうち約30人が深夜や翌朝まで利用した。県外からの利用者もおり、影響がどこまで広がるのか、市もつかみきれずにいる。 (古川努)

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温浴施設名公表に共感広がる

 施設名の公表に踏み切った熊本市東区の温浴施設「ピースフル優祐悠」。村上浩二支配人は「利用者のみなさんの安全が第一」と決断の理由を語る。「クラスター」発生を危ぶむ声がある一方、インターネット上には励ましのメッセージもあふれた。「再開したら、行くから頑張れ」-。

 市が施設名を公表した26日午後6時すぎ。男性2人組が「コロナが出た」「マスクをくれ」と慌てて施設から出てきた。顔には、マスク代わりに巻き付けたタオル。従業員から感染者発生の説明を聞き、逃げ出してきたという。

 施設の電話は午後8時ごろまで鳴りっぱなし。市によると、27日午後1時までに市や施設などに300件を超える電話があったという。「ちゃんと消毒したのか」「検査は全員したのか」。中には苦情や心ない言葉もあった。保育園の預かりやデイサービスの利用を拒否された従業員もいた。

 偏見、差別、風評被害。新型コロナウイルスの感染が県内で発生して以降、こうした過剰な反応がたびたび起きてきた。ただ、今回はネット上で、これまでとは違う反応も目立つ。「公表してくれてありがとう」「熊本地震の時、入浴支援してくれたの、覚えているよね?」「何度か泊まったけどええとこやで!」

 施設は27日、保健所の立ち会いで消毒作業を終了した。従業員全員のウイルス検査も行う。突然訪れた逆境にくじけず、営業再開を目指して村上さんは誓う。「安心して利用してもらえるよう、頑張るだけです」 (綾部庸介)

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