九州の基地、日米一体化進む 「沖縄の負担減は名目」住民ら警戒

西日本新聞 社会面 阪口 彩子

 在日米軍再編の一環として航空自衛隊築城基地(福岡県築上町など)と新田原基地(宮崎県新富町)に、弾薬庫などの米軍用施設を整備する事業が2019年度から始まっている。沖縄の基地負担の軽減が名目だが、両基地周辺からは「むしろ(九州・沖縄で)負担増になるのでは」と疑問の声が上がる。訓練増加による騒音も懸念されるなど、基地近くの住民らは警戒を強めている。

 九州防衛局によると、自衛隊施設の駐機場、弾薬庫、燃料タンクなどの整備費用として、19年度予算で築城基地約47億円、新田原基地約100億円を計上。両基地とも工期は21年度まで予定しており、日米地位協定による提供手続きを経て米軍の運用が可能になる。

 06年5月に日米両政府で合意した在日米軍再編ロードマップ(行程表)には、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の能力を代替する目的で、緊急時に米軍が築城、新田原両基地の施設を使用することが盛り込まれた。18年10月、日米合同委員会で両基地での米軍使用施設の整備に合意し、19年度から工事が始まった。

 宮崎県出身で元航空自衛官の軍事ジャーナリスト、小西誠さん(71)は「訓練移転の範囲を超え、いつの間にか常時駐留になる可能性がある。基地強化に伴い訓練も増加し周辺住民の生活が脅かされる」と指摘する。

 築城基地では、事前通告なしの米軍機の緊急着陸回数が増加傾向にある。九州防衛局によると、米軍岩国基地(山口県)に所属するFA18戦闘攻撃機の事前通告なしの着陸回数は15年、17年度が1回1機だったのに比べ、18年度は7回29機、19年度(1月末現在)は1回で6機が着陸した。FA18以外でも、18年度はF35B(最新鋭ステルス戦闘機)が緊急着陸した。築城基地で計画される滑走路の延長が完了すれば普天間飛行場の滑走路(約2700メートル)と同じ長さになり、大型輸送機などの離着陸も可能になる。

 政府は昨年11月、約160億円で無人島の馬毛島(鹿児島県)買収で合意。硫黄島(東京都)で行われていた米空母艦載機の陸上空母離着陸訓練(FCLP)も馬毛島へ移す方向だ。

 小西さんは「軍事的な衝突が起きた場合、被害を最小限にするため、九州・沖縄で封じ込める考えではないか」と懸念。築城基地での日米共同訓練に20年以上反対してきた渡辺ひろ子さん(71)は「沖縄の負担軽減と言いながら築城基地は米軍岩国基地のサブ基地になっている。気付いたら生活できなくなったということにならないか」と不安を口にした。 (阪口彩子)

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