オーバーシュート、ロックダウン… 専門用語なぜカタカナ語ばかり?

西日本新聞 社会面 山下 真

 オーバーシュート、ロックダウン…。新型コロナウイルス感染症に関するニュースでは政府関係者や専門家会議から、聞き慣れない片仮名語が飛び交う。なぜ、分かりやすい日本語で表現しないのか。

 「オーバーシュート(爆発的患者急増)を起こしかねない」。19日に開かれた政府の専門家会議は、感染拡大の続く国内の状況をこう表現した。

 専門家会議の提言では、ほかにもロックダウン(都市封鎖)▽クラスター(感染者集団)▽メガクラスター(巨大な感染者集団)-などの専門用語が使われた。

 これに対して河野太郎防衛相が21日、自らのツイッターに「なんでカタカナ?」と投稿して疑問を投げ掛けた。投稿は30万件以上(27日現在)のリツイート(転載)や「いいね」が押され、話題を呼んだ。

 どうして、なじみの薄い専門用語をそのまま使うのか。専門家会議のメンバーの一人は「それぞれの現象を表すため、普段から使っている」。感染症や疫学の専門家の間では、日常的な用語なのだという。一方、厚生労働省の担当者は「一般的に分かりづらいのは確かだが、日本語で正確な意味を伝えにくく、適切な表現が難しい」と話す。

 別の観点から捉える意見もある。「フェイクニュースの見分け方」などの著書があるジャーナリストの烏賀陽弘道さんは「日本では深刻な危機に直面すると、政府やマスコミが国民にショックを与えそうな言葉を柔らかく言い換える癖がある」と話す。

 念頭にあるのは、東日本大震災の発生直後、頻繁に使われた「計画停電」だ。「停電は元から計画したものでなく、本来は緊急避難的な対応だった。無難な言葉を使うことで、人々の不安やパニックを避ける狙いがあった」という。

 今回の新型コロナウイルス関連の用語についても、「『都市封鎖』とストレートに表現すれば、まるで戦時中のような不安感を与える。一種の印象操作で自己検閲だ」と指摘。あえて「ロックダウン」という外来語を使うことで印象を和らげる意図を感じるという。

 烏賀陽さんは、聞き慣れない片仮名語が乱用されると、現実に何が起きているのかが伝わりにくくなると危惧する。「危機に直面する時は、現実に起きていることをありのままに、分かりやすい言葉で伝えた方が不安やパニックを防げる」と語った。 (山下真)

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