大分院内感染 地域の医療守る手だてを

西日本新聞 オピニオン面

 全ての医療機関がこの集団感染を重く受け止め、院内感染対策の強化を急ぐべきだ。

 国立病院機構大分医療センター(大分市)を中心に発生した新型コロナウイルスの集団感染で、大分県は医療従事者や患者だけでなく、出入り業者なども含め千人以上を対象に実施したPCR検査を終えた。集団感染確認から約1週間で、事態はひとまず一段落したと言えよう。

 感染者は27日正午現在、24人に上る。ただ現在の検査では、感染しているのに陽性にならない「擬陰性」が起こり得る。陰性となった人にも可能な限り不要不急の外出を控えてもらうなど、県は感染拡大防止への協力を広く呼び掛けるべきだ。

 感染は大分医療センター内にとどまらず、患者が転院した同市内の県立病院など複数の病院に及んだ。センターは外来診療を全面中止し、転院患者が発症した病院の一部でも外来診療を制限している。地域医療に深刻な影響が広がらないよう、県内の医療機関は連携を進め、市民の不安を解消してほしい。

 大分医療センターでは、感染した看護師が発症後も勤務していた。仕事への責任感から無理をしたのかもしれないが、発熱などの症状がある医療従事者は休むといったルールを全医療機関で徹底することが大切だ。

 センターでは、持病の間質性肺炎と判断されPCR検査が遅れた患者もいた。少しでも感染が疑われる症状がある患者は迷うことなく検査すべきだ。これを支えるため、政府は検査態勢の拡充を急ぐ必要がある。

 現地入りした厚生労働省のクラスター対策班は、医師や看護師が扱うカルテや電子機器などを介した「接触感染」の可能性を指摘している。これを受けて県は検証を急ぎ、結果を公表してほしい。新たな院内感染発生の防止につながるはずだ。

 大流行に見舞われている欧州では、医療従事者の感染が多発して「医療崩壊」の危機にひんしている国もある。世界保健機関(WHO)は医療現場のマスクや手袋などが不足している現状を訴え、「医療従事者の保護」を世界に呼び掛けている。

 海外だけでの話ではない。国内の医療機関や介護施設でも、消毒液やマスク、手袋などが依然として不足している。政府はこうした商品の生産拡大を後押ししているというが、必要な施設に必要な量が行き渡るよう早急に対策を強化すべきだ。

 このまま医療従事者の感染が増えるようなことになれば、誰が治療を担うのか。患者に感染すれば、地域にも広がる。何としても院内感染の発生と拡大は防がねばならない。医療を守ることは感染症対策の本丸だ。

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