「全ての縁に感謝を込めて」 書と絵で伝え続ける糸島市の書画家

西日本新聞 ふくおか都市圏版

 自らを「言葉書き」と称する。福岡県糸島市の書画家・鳴海三四郎さん(41)は、独特の書と抽象的な絵を組み合わせた書画で言葉を伝える。「正直に/真っすぐに/私は/生きる」「がんばれ/自分らしく」。15年間の創作活動で生み出した作品は、心に浮かんだ言葉を“自分自身”に宛ててつづったものだ。年に数回個展を開くほか、福岡都市圏を中心に九州各地の商業施設やイベントで即興制作をしている。「人それぞれ、その時々で言葉の受け止め方は異なる。自分のために書いた言葉が誰かの『今』を切り開くきっかけになればうれしい」

 原点は幼少期から抱いていた漠然とした「生きづらさ」だった。大分県佐伯市の代々漁師の家庭で、4人きょうだいの3番目。両親と祖父母、おじ2人の総勢10人の大家族。地域のつながりも強かった。

 「なぜあの人は笑っているのか」「なぜ僕はここに存在しているのか」。次々にわき上がる「なぜ」に押しつぶされ、人とどう交わればいいのか戸惑った。やがて、自分の殻に閉じこもるようになった。

 高校卒業直前から体調不良だったが、22、23歳の頃、姉から勧められた日記が転機となった。日々感じていることや考えていることをつづることで「生」を実感できた。

 その後、アルバイトで全国を転々とし、幼なじみを頼って福岡へ。天神の路上で作品展示を始めて間もなく、若いカップルが訪れ、女性から「私を見て、思いつく言葉を書いてください」と頼まれた。これまで人に向けて書いたことはなかったが、女性の表情を見てふと思いついた言葉を書いた。「ただただ幸せ」

 「あの時の女性のうれしそうな顔は忘れません。自分の言葉で人とつながってゆける自信をもらった気がします」

 来月4日まで福岡市南区若久のカフェスタジオ「言(こと)の波(は)」で、これまでの活動を振り返る個展「継続」を開催中だ。「作品は一瞬一瞬の『今』を重ねたもので、『継続』は今を生きている感覚がはっきりする言葉」と語る。「自分を見つめていろんな感覚を表現に変えていき、全ての縁に感謝を込めながら描き続けたい」

 4日午後3時からはライブペイントも予定。入場無料だが1オーダーが必要。開館時間は午前11時半~午後8時(火曜は午後5時まで、水曜は休み)。言の波=092(211)5108。

(田中仁美)

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