吉本新喜劇と市民100人が共演 準備中に知った故郷の残念な状況

西日本新聞

放送作家・海老原靖芳さん聞き書き連載(95)

 17年前。わが故郷、佐世保の市制100周年の記念イベントとして、翌年1月に吉本新喜劇の公演が行われることになりました。総指揮を任された私は、佐世保ならではのオリジナリティーあふれる舞台にするため、100周年にちなんで市民100人に出演してもらうことにしました。

 オーディション会場に来たのは幼稚園児からお年寄りまで200人以上。一人一人に面接して「舞台で見せられるもの、何かできることはありますか」と聞くと、いきなり裸になって筋肉自慢をする青年、日本舞踊を始める中年女性など、とても見ていられない、いやいや、見ていてとても楽しい人ばかりでした。

 終わりごろはさすがに疲れましたが、イルカが癒やしてくれました。「なんで突然イルカなんだ!」と突っ込む読者がいるかもしれませんが、オーディション会場の劇場が水族館の中にあったんです。そう、以前にもお話ししたパールシーリゾート。柳家喜多八さんと林家正蔵さんの疲れを癒やしたイルカのプールがある水族館です。劇場のある水族館なんて、すてきじゃないですか。全国でも珍しいと思いますよ。これぞ佐世保オリジナル。

 佐世保には劇場兼イベント会場がいくつかあり、心の問題に関する講演会や勉強会も開かれていますが、それこそパールシーのような場所が最適でしょう。私の記憶によると、客席後方のドアを開けると、目の前はイルカのプール。講演会や勉強会の後で街の雑踏に出るのと、イルカが泳ぐプールに出るのと、どっちがいいでしょうか。賢明な皆さんはお分かりですよね。それが正解です。

 でも、佐世保の関係者は賢明じゃなかったようで、私がUターンした頃の劇場は物置にされて使用不可。取り壊す話も上がっていました。これがわが故郷の文化レベルなのか。あの劇場でディズニー映画「モアナと伝説の海」の上映会や絵本「海へさがしに」の読み聞かせをしたら、臨場感もあって子どもたちは喜んだでしょうに。ああ残念無念。

 子どもたちが喜ぶといえば、佐世保版吉本新喜劇で大阪名物パチパチパンチの島木譲二さんの出演に合わせ、上半身裸の男子小学生だけでパチパチパンチ隊をつくりました。稽古している子どもたちは私の予想以上に楽しそうでした。

 そんなこんなの準備を経て、いよいよ本番。会場のアルカスSASEBO大ホールの幕が上がりました。

(聞き手は西日本新聞・山上武雄)

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 海老原靖芳(えびはら・やすよし) 1953年1月生まれ。「ドリフ大爆笑」や「風雲たけし城」「コメディーお江戸でござる」など人気お笑いテレビ番組のコント台本を書いてきた放送作家。現在は故郷の長崎県佐世保市に戻り、子どもたちに落語を教える。

※記事・写真は2019年10月08日時点のものです

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