ドリフやたけしの番組手掛けた作家 故郷で気付いた笑いの原点

西日本新聞

放送作家・海老原靖芳さん聞き書き連載(96)

 2003年1月26日、させぼ版新春吉本新喜劇の公演日です。会場のアルカスSASEBO大ホールは3階席まであり、2千人を収容できます。昼と夜の2回公演だから計4千人。お客さまが少なくて興行的に失敗だったら、私は荒縄で縛られ、市中引き回しにされて百たたきの刑になるのではないかと、不安の中で本番を迎えました。

 開演前に舞台の袖から恐る恐る客席をのぞくと、3階席まで人、人、人。立すいの余地もないほど埋まっていました。昼も夜も。

 幕が上がり、新喜劇のあのテーマ曲が「♪ホンワカパッパホンワカパッパ~」と流れてから幕が下りるまで、拍手、歓声、爆笑の連続でした。吉本の芸人たちが受けるのは当然ですが、私が選んで一緒に稽古した市民たちが受けたことが、目頭が熱くなるほどうれしかったなあ。

 当時市長だった光武顕さんも出演しました。新喜劇の「地方営業パッケージ」で、その地域の長を舞台に上げることがありますが、市長さんは市長役。地のままでやれるから楽です。私は市長といえども楽はさせません。佐世保市長役はチャーリー浜さんで、光武さんはその秘書。市職員役の博多華丸から「市長」と呼ばれると、光武さんが「なんだい」と前に出るのですが、チャーリーさんが怒って「市長はわしだ! おまえは秘書。引っ込んでろ!」。これは大爆笑でしたね。

 この公演は私にとってエポックメーキングでした。佐世保には佐世保の笑いがある、と実感したのです。長年、東京のキー局でドリフやたけしさんたちと笑いをつくり、大阪で吉本新喜劇を手掛けてきましたが、私の笑いの原点は佐世保なのだと気付いたのです。食の世界では地産地消という言葉があります。この公演をきっかけに「地産地笑」もありじゃないかと。

 突然ですが、ここで小ばなしを。「駅員さん、あの電車にはどうしてコンブやワカメが付いてるんですか」「ああ、あれはカイソウ電車だからね」。これは柳家喬太郎さんの小ばなし。私も作ってみました。

 「駅員さん、あの電車の屋根にはどうして芝が生えてるんですか」「ああ、あれは特急みどりだからね」。東京や大阪では受けないでしょうが、九州では親近感を持って笑ってくれるのではないでしょうか。

 ま、そういうわけで、故郷で笑いをつくる面白さが実感できたのもUターンの要因の一つになったとよ。

(聞き手は西日本新聞・山上武雄)

………………

 海老原靖芳(えびはら・やすよし) 1953年1月生まれ。「ドリフ大爆笑」や「風雲たけし城」「コメディーお江戸でござる」など人気お笑いテレビ番組のコント台本を書いてきた放送作家。現在は故郷の長崎県佐世保市に戻り、子どもたちに落語を教える。

※記事・写真は2019年10月09日時点のものです

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