校長500人の前でコント 人選は難航し…わが目疑った“逆提案”

西日本新聞

放送作家・海老原靖芳さん聞き書き連載(99)

 初対面で武闘家だと思った鴨川純一郎さんは、佐世保市立清水中の校長先生でした。その鴨川さんから中学校での講演を頼まれ、そのときに提案したのがコントの実演。笑いをテーマにした私の講演とともに、生徒たちによるコントは大好評で、会場の体育館に笑い声が響きました。

 笑いは人間関係の潤滑油です。生徒同士、生徒と先生、先生同士の関係が楽しくなるし、学校も面白くなります。

 その後、鴨川さんから新たなリクエストです。今度は長崎県の小中学校の校長先生500人が一堂に会する研究大会での講演です。何ともガチガチの堅いイベントです。

 私が講演で一方的にしゃべって終わるのも何だかなあ…。そこで思いついたのは、中学校の講演会と同じように「笑いの表現」としてのコント。研究大会の責任者だった清水小の山崎邦裕校長に「生徒と校長のコンビか、先生と校長のコンビでコントができないか」と提案しました。でも、研究大会は平日なので「生徒も先生の参加も無理ですね」との返事でした。

 数日後、山崎さんから思いもよらない逆提案がメールで届きました。「校長同士のコントはどうでしょうか?」。一瞬、わが目を疑いましたね。だってそうでしょう。校長先生って学校で一番権威があり、威張っているとは言いませんが、偉そうにしているとは言いませんが、規則、規則の一点張りで頭が固いとは言いませんが、まさかコントをやる校長がいるとは思いませんでしたから。

 佐世保の校長先生は、なんて笑いの偏差値が高いのでしょう。で、その物好きな、いや、志の高い2人は吉井南小校長の松瀬伸吾さんと当時宮小校長だった吉本哲也さん。

 台本は、私が書いたザ・ドリフターズのコントを参考にしています。かつてテレビ朝日で放映された「ドリフと女優の爆笑劇場」。その中に「乙女の診察室」というコーナーがあり、いかりや長介さんが医師、女優が患者の設定でした。

 2人の校長と面接した数日後、台本を渡して稽古しながら、どちらが医者か患者か、役を交代させながら決めました。最初は恥ずかしそうにしていましたが、ヨイショ上手の放送作家におだてられて木に登りました。いや、気が乗ってきて次第にうまくなりました。

 2018年5月11日の本番。1日限りのコンビ名はザ・コウチョーズ! 

(聞き手は西日本新聞・山上武雄)

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 海老原靖芳(えびはら・やすよし) 1953年1月生まれ。「ドリフ大爆笑」や「風雲たけし城」「コメディーお江戸でござる」など人気お笑いテレビ番組のコント台本を書いてきた放送作家。現在は故郷の長崎県佐世保市に戻り、子どもたちに落語を教える。

※記事・写真は2019年10月12日時点のものです

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