全国初?校長同士でコント 「2人が見せてくれた」笑いの必要性

西日本新聞

放送作家・海老原靖芳さん聞き書き連載(100)

 昨年5月、佐世保市で開催された長崎県の校長会研究大会で記念講演を頼まれました。テーマは「笑いの力」。私は、笑いは人と人との潤滑油であり、コミュニケーション能力、表現力を高めるには落語や漫才やコントが有効である、と考えています。特に教育の現場にこそ、笑いは必要です。

 そういう内容の話をするつもりでしたが、それだけでは能がない。研究大会の責任者と相談し、校長先生同士でコントを演じてもらいました。その名も「ザ・コウチョーズ」。

 吉井南小の松瀬伸吾校長と宮小の吉本哲也校長が志願してくれました。どちらもコントは初体験。なんと物好きな、いや、なんと前向きで勇気ある校長でしょう。全国でも初めての試みではないでしょうか。

 私の講演の終盤に2人が壇上に登場し、1日限りのコンビ、コウチョーズのコントが始まりました。台本の基本設定は、私がザ・ドリフターズに書いた病院コントです。

 吉本さんが医者役、松瀬さんが患者役。「どうされましたか」と吉本さんが何度尋ねても松瀬さんは無言のまま。そこで吉本さんが一言。「あなたは“へんとうせん”ですね」

 そんな掛け合いが続き、オチのたびに500人の校長先生たちは笑顔、笑顔。声を上げて笑う人も。終演後、他の校長は「笑いのある学校は良いと、2人の先生が身をもって見せてくれた」「生徒が老人ホームと交流するときに笑顔が一番の薬と教わる。やっぱり笑顔は大事」と感想をくれました。私は学校で講演を頼まれると、可能な限り、生徒にコントや落語を教えています。

 こんな感じで、笑いの伝道師のような活動もしていますが、たかがコントや落語を教えたぐらいで、教育の諸問題が解決できるなんて思い上がった考えはありません。簡単でないことぐらい分かります。されど、今の子どもたちの教育には笑いが必要です、と言いたいのです。神戸市の小学校で複数の教諭がいじめ行為を繰り返した問題は、もってのほかです。この教諭たちは、本当の笑いやコミュニケーションを知らなかったから、あんなことをしでかしたのでは…。

 コウチョーズをきっかけに、長崎の教育界は笑いを大切にし、子ども同士、子どもと大人、大人同士が笑顔でコミュニケーションできる環境づくりを実践しています。そう全国に発信してほしいですね。

(聞き手は西日本新聞・山上武雄)

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 海老原靖芳(えびはら・やすよし) 1953年1月生まれ。「ドリフ大爆笑」や「風雲たけし城」「コメディーお江戸でござる」など人気お笑いテレビ番組のコント台本を書いてきた放送作家。現在は故郷の長崎県佐世保市に戻り、子どもたちに落語を教える。

※記事・写真は2019年10月14日時点のものです

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