投票券付きCD…「モー娘。」の番組手掛けた作家が言いたいこと

西日本新聞

放送作家・海老原靖芳さん聞き書き連載(101)

 突然ですが、告白します。私は放送作家でありながら、テレビは見ません。受像器はありますが、それは映画のDVD鑑賞用であり、テレビ番組は8年前から映りません。なぜ見なくなったのか。テレビの世界が変わったからです。

 私は1980年代から90年代の第2次バラエティーブームのど真ん中で、主にコントを中心としたお笑い番組の台本を書いてきました。が、そういう笑いを作る番組は次第になくなり、情報系かクイズやトークだけの番組ばかりです。それをとやかく言うつもりはありません。時代の流れです。老兵は死なず、ただ消え去るのみ。

 とは言っても、一寸の老兵にも五分の魂。とやかく言いたいこともあります。それはAKB商法のこと。私は芸能界で長年仕事をしていたし、「AKB48」の前にアイドルグループの頂点にいた「モーニング娘。」の番組にチーフ作家として携わっていました。だからこそ、AKB商法にはとやかく言いたい。

 どんなにCDを売りたくても、やってはいけないことがあります。CD1枚に投票券を1枚入れて、得票数が多いメンバーがセンター(グループの中心)になれるAKBの総選挙。今年は行わないそうですが、こういうことをやると、ファンは当然、自分の好きな子を1番人気にしたいから、投票券欲しさに1人で何枚も同じCDを買います。これは「選挙はお金で買える」ということを青少年たちに教えているのです。

 メンバーは売れるために頑張るだけです。たちが悪いのは、こういうシステムを作ってメンバーとファンを操っている業界の大人たちです。もう一度言います。AKB商法は、選挙がお金で買えることを、見えるサブリミナル効果として日本中に広めたのです。

 それなのに、どこかの市長は成人式の壇上でAKBの曲を歌っていました、得意気に。選挙で選ばれる市長が、選挙をカネで買うシステムで動く連中の歌を、選挙権を得たばかりの若者の前で披露するとは思慮が浅いのではないですか。

 国会議員でカラオケ好きのある野党党首も、AKBの歌が好きだと公言していました。ある与党党首もこのシステムを作ったプロデューサーと親しいようで、やはり腹〇の友ですかね。

 〇の中には「心」でも「筋」でも「帯」でも「黒」でも、読者の皆さんがお好きな漢字を入れてください。

(聞き手は西日本新聞・山上武雄)

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 海老原靖芳(えびはら・やすよし) 1953年1月生まれ。「ドリフ大爆笑」や「風雲たけし城」「コメディーお江戸でござる」など人気お笑いテレビ番組のコント台本を書いてきた放送作家。現在は故郷の長崎県佐世保市に戻り、子どもたちに落語を教える。

※記事・写真は2019年10月16日時点のものです

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