子ども向けに「冥加訓」指南書 江戸の儒学者の教え現代に 大分県

西日本新聞 大分・日田玖珠版 稲田 二郎

竹田商議所が制作

 江戸時代の儒学者関一楽が、旧岡藩で藩士の師弟たちに道徳を教えるために記した書「冥加訓(みょうがくん)」を現代の子どもたちにも読んでもらおうと、大分県竹田市の竹田商工会議所が指南書を制作した。生きていく上での心構えを絵本などで分かりやすく解説。商議所は今後、勉強会などを開いて、関の教えを広げたいとしている。

 関は1644年に生まれたとされ、元々は備前・岡山藩の藩医だった。岡藩へ招かれ、後に藩校「由学館」となる「輔仁堂」を開塾。藩士の師弟の教育に当たり、冥加訓は関が約30年かけて81歳のときに書き上げたとされる。

 冥加訓は論語や大学など四書五経の手引書。どうすれば長寿が全うできるのかを見据え、飲食や仕事の心得、親子や夫婦の在り方などを具体的に記している。

 地元の大分県竹田市では存在が忘れられていたが、2016年公開の映画「殿、利息でござる!」(中村義洋監督)で、阿部サダヲさんが演じる主人公が幼少時に父から冥加訓を読み聞かせられる様子が描かれ、クローズアップされた。

 元市立図書館長で郷土史家の本田耕一さん(76)=同市=らが現代訳して自費出版すると、企業から「社員教育で使いたい」などと反響があり、今回は商議所が中心となって子ども向け指南書を作ることにした。

 指南書は全9巻。1巻は「すこやか読本」として解説しており「貪欲というは、むさぶる欲を言うなり」(よくばりとは、大きなケーキをだれにも分けず、ひとりじめして食べるようなことです)などと分かりやすく意訳する。

 2巻は日めくりカレンダーで冥加訓が学べ、4日「いかるというは、胸をこがし 心をふすべ 寿命の損ずることなり」、18日「飲食は身命を養うものなれど 分に過ぎれば命をとらるるなり」などと記す。4巻は絵本、7巻はいろはかるた、9巻は企業向けの「一楽の訓(おし)え」など、巻ごとに趣向を変えて教えを解説している。

 指南書は40セット制作し、観光などで活用する。事業費は500万円で日本商工会議所の支援を受けた。指南書づくりに携わった本田さんは「関の教えが受け継がれ、竹田は文教地区になった」と話し、竹田商工会議所の河野通友参与(70)は「冥加訓は竹田の誇りで多くの人に知ってほしい」と話している。(稲田二郎)

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