「おかしい」かんぽ、全国で不自然契約 84歳父が50代娘に死亡保険

西日本新聞 一面 宮崎 拓朗

「重要事項すら理解していないのに」

 「私が死んだときにお金を残せる保険に入るから来てほしい」。2016年、山口県の50代女性は北九州市に住む父親(84)に呼ばれ、契約書類にサインした。郵便局員は女性に健康状態を尋ねただけで「これで安心ですね」と話した。だが昨年6月、父親が糖尿病などで入院したのを機に保険を調べると、女性の死亡時に父親が200万円を受け取る契約になっていた。

 父親は契約内容を理解しておらず、妹にも同様の保険を掛けていたため、すぐに解約。結果として2人分で約7万円の損失が出た。女性は「重要事項すら理解していないのに契約させるなんておかしい」と憤る。

 福岡県の50代男性は1月、80代の両親宅で子ども3人と孫2人を被保険者にした5件の保険証書を見つけた。母親は「局員から『貯蓄になる』と言われ契約した」と説明。いずれも10年後が満期の養老保険で、5人分の総支払額約3500万円に対し、満期金は3150万円だった。男性は「貯蓄とはほど遠い内容だ」と契約無効を求めている。

 神奈川県の80代女性は17年、局員から「相続税対策になる」と勧められ、次男を被保険者とする契約を結んだ。実際は約860万円を支払い、次男の死亡時に女性が500万円を受け取る終身保険だった。返金は拒否され、仕方なく解約。約40万円の損失が出た。

 山口県の女性(78)は09~16年、子や孫9人を被保険者とする19件の保険契約を結んだ。昨夏、長男が気付き、かんぽ生命に抗議。かんぽ側は1月に全額返金する意向を示したという。

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 かんぽ生命保険で、子や孫の死亡時に高齢者が保険金を受け取る不自然な契約が相次いでいる。西日本新聞がこの問題を報じたところ、全国の高齢者や家族から被害を訴える声が寄せられた。こうした事案は、日本郵政グループが行っている重点調査の契約形態には含まれない。かんぽ生命は「不適正な営業が判明すれば、顧客の不利益解消を図っていく」としている。 (宮崎拓朗)

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